社会

入管法改正案 ずさんすぎる制度設計

11/03 05:05

 政府はきのう、外国人労働者の受け入れを拡大するため、新たな在留資格を創設する入管難民法などの改正案を閣議決定した。

[PR]

 今国会で成立させ、来年4月1日からの実施を目指すという。

 受け入れ拡大は、社会の姿を変えるほど大きな政策転換だ。安倍晋三首相が「移民政策ではない」と繰り返すが、事実上の移民政策との指摘もある。

 国民の間に合意があるわけでもなく、本格的な議論も行われていない。前のめりな政府の姿勢に、野党だけでなく与党からも批判が出るのも当然だ。

 企業や自治体、住民など受け入れ側の態勢づくり、社会保障制度の整備など、検討すべき課題が山積している。

 成立後の省令にゆだねられた部分もあり、制度設計があまりにずさんだ。省令では国会のチェックもききにくい。

 臨時国会で拙速に決めれば、将来に禍根を残すことになろう。期限を設けず時間を十分にかけて、根本から議論を重ねるべきだ。

 受け入れ対象は、在留期間が5年の「特定技能1号」は農業や宿泊業など14業種、無期限の2号は建設や自動車整備など数業種に限定する方向で調整するという。

 職種の分類には、人手不足が著しいという企業側の都合以外に、明確な根拠は見当たらない。

 賃金未払いや過重労働など多くの弊害を抱えた外国人技能実習制度が残るのも問題だ。しかも実習生は1号に簡単に移行できる。

 受け入れ人数の上限について、山下貴司法相は「設けることを考えていない」と述べた。

 雇用の調整弁として、企業が安易に利用する恐れがある。

 日本人と同等以上の報酬を保障する具体策も示されていない。

 当然ながら、外国人労働者にも雇用保険や健康保険、公的年金への加入が求められる。

 こうした条件を整える議論がすっぽり抜け落ちている。

 今回の法改正の動きは、深刻な人手不足に悩む経済界の要請が発端となった。

 技能実習制度を温存したまま、あわてて受け入れを拡大しようとするのも、結局、外国人を、単なる穴埋めの安価な労働力とみなしているからだろう。

 外国人労働者を「生活者」として社会に迎え、共生していく視点を欠いている。

 こうした姿勢では国際社会からの批判も免れまい。

 見切り発車は許されない。

ページの先頭へ戻る