政治

自民党総裁選 経済・財政政策 歪み是正する手だてを

09/13 05:00

 自民党総裁選では、安倍晋三政権が6年近く続ける経済政策「アベノミクス」の是非が問われる。問題点を総点検し、進むべき道を探り直す必要があろう。

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 確かに、円安の追い風を受けた輸出型大企業の利益は急増し、株価も上がった。雇用などいくつかの経済指標は好転している。

 一方で、国民の多くは景気回復を実感しておらず、頼みの個人消費は上向かない。特に気がかりなのは、株高の恩恵が大企業や富裕層に偏り、北海道を含め地方にほとんど届いていない点だ。

 安倍首相は政策の自賛に終始せず、こうした歪(ゆが)みを是正する手だてを示すべきだ。

 「地方創生を核とした経済再生」を掲げる石破茂元幹事長にも、もっと踏み込んだ具体策を示してもらいたい。

 アベノミクスの核は、市中に大量のお金を流し込む異次元金融緩和だ。円高の是正が進み、企業業績は好転した。

 なのに賃上げはなかなか進まない。企業の稼いだお金のうち給与など従業員に配分された割合を示す「労働分配率」は昨年度、43年ぶりの低水準だった。

 首相が「倒産が減った」と誇る中小企業も、休廃業や解散の件数は高止まりしている。だから中小の設備投資は低迷が続く。

 経済成長や雇用環境の改善を実現させたとして、首相はアベノミクスの継続を訴える。

 しかし消費不振が長引き、経済の好循環がいまだ生まれない中、これまでと同じ政策を続けても展望は開けまい。首相が示すべきは軌道修正の道筋だ。

 石破氏は現状の課題を指摘した上で国民一人一人の所得向上のほか、地方や中小企業の潜在力を生かす政策が要ると語る。肝心のその中身が不明なのは残念だ。

 異次元緩和の是非が正面から論じられていないのは解せない。副作用が顕在化しており、根本からの検証が求められよう。

 社会保障は持続可能なのか、先進国で最悪の財政をどう立て直すのかも気になる。両候補は国民の不安に耳を傾けているだろうか。

 首相は来年の消費税増税を予定通り行う一方、増収分の使い道を教育にも広げる考えだ。増税で本来目指すべき社会保障の充実や財政再建が遠のかないか心配だ。

 石破氏は経済政策などの司令塔となる会議を新設するという。今ある「経済財政諮問会議」に屋上屋を架すことにならないか。

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