文化・芸能

<新刊と文庫>「凡人の怪談」など

09/09 05:00

<単行本>

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◆凡人の怪談 工藤美代子著

 ノンフィクション作家の著者は日常生活で「何か」を見てしまう人だ。それは、背筋が凍り付くほどの恐怖ではなく、ちょっとした変なことだ。それら日々の経験を、ユーモアと老いのぼやきを交えてつづるエッセー。彼女の前に現れる、いいかげんでふがいないお化けが何とも人間らしく、微苦笑を誘う。そして「人間が一番怖い」という結論に落ち着く。(中央公論新社 1404円)


◆地図を広げて 岩瀬成子著
 両親の離婚で父と暮らしていた12歳の鈴。母が死んだことで、母のもとにいた弟の圭がやってくる。どこかよそよそしい圭に気をつかう父。3人は、昔みんなで行った川に出かけたり、一緒に生活していたアパートを訪ねたりして、離れていた4年間の空白と母と過ごした記憶を取り戻していく。何げない日常を通して、家族の大切さをしっとりと描いた物語。(偕成社 1620円)

◆その症状、すぐ病院に行くべき? 行く必要なし? 山中克郎著
 総合診療医が、頭痛やめまい、しびれなどの症状から考えられる病名を診断するマニュアルを解説。該当する症状をチェックして、がん、認知症など病気の可能性を示す。その上で、受診の緊急度を「救急車」「すぐ」「1~2日以内」「慌てなくて結構」の4段階に分ける。(CCCメディアハウス 1620円)

◆これならわかるイギリスの歴史Q&A 石出法太、石出みどり著
 歴史や経済などを分かりやすく解説する大月書店の「これならわかるシリーズ」。石器時代から、EU離脱が決まった2016年の国民投票までの「イギリスの歴史」をまとめた。正式な国名と由来、王室の祖先はドイツ人など、政治、経済、産業、文化の疑問やエピソードを時系列で解説。(大月書店 1728円)

◆お取り分け 猫ごはん 五月女圭紀著

 オーガニック料理ソムリエの著者が、自分が食べるごはんと同じメニューを猫にも食べさせる「お取り分け」を提唱する。「同じ釜のメシ」を与えることで、体臭、便臭が少なくなり、病気知らずの健康体になるという効果が生まれる。人間にとっても、残飯やゴミが減り、経済的負担が減ると説く。サラダやハンバーグなど「お取り分けごはん」の24レシピも紹介。(駒草出版 1620円)

<文庫・新書>


◆新版 死を想う 石牟礼(いしむれ)道子・伊藤比呂美著
 詩人である伊藤が、今年2月に亡くなった石牟礼に「死とはどんなものか」と問いかけた対話集。話は、空襲や飢え、両親の介護、お経の解釈などに及ぶ。2007年の新書に石牟礼の詩、伊藤の追悼文を増補。石牟礼の考え方や生きざまに共感するとともに癒やされる。(平凡社新書 821円)

◆脅迫者 堂場瞬一著
 病苦からの自殺と処理された20年前の事件に疑問を抱いた沖田刑事は、当時の捜査関係者に会いにいく。しかし「その件は手を出すな」と断られ、何者かに尾行されるようになる…。文庫書き下ろしの警視庁追跡捜査係シリーズ8作目。(ハルキ文庫 788円)

◆人情馬鹿物語 川口松太郎著
 第1回直木賞作家による人情小説集。女博徒に心を奪われた男が老爺(ろうや)の一言で救われる「丸髷お妻」、関取と芸者の悲恋の「櫓(やぐら)太鼓」、実在の掏摸(すり)師仕立屋銀次の話など、大正時代の東京下町を舞台に純粋に生きた人たちを描いた12編を収録。1995年刊行を底本に文庫化。(光文社文庫 972円)

◆日本の崩壊 御厨貴、本村凌二著
 東大名誉教授の政治学者と古代ローマ史の第一人者による対談。ポピュリズムや政治と派閥、安全保障など五つのテーマを、日本近代史と世界史を踏まえながら解説。この国は崩壊するのか。そしてそれを防ぐための道筋にも踏み込む。(祥伝社新書 886円)

◆でもいいの 佐野洋子著

 絵本作家でエッセイストの著者が出会った人たちを描いたエッセー集。自分自身であるために化粧をし続けた母、美空ひばりファンを自任し、大金をだまし盗(と)った不動産詐欺師、毅然(きぜん)とした女性の生き方の見本だった高校時代の教師など、1996年刊を改題して再文庫化。(河出文庫 713円)

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