北海道

電力供給綱渡り 10万キロワット足りず節電必要 老朽火力多く高リスク

09/09 05:00

 北電は8日までに350万キロワットの電源を積み上げ、道内は、連鎖的に広域停電になる「ブラックアウト」から2日ぶりにほぼ復旧した。ただ、週明け10日には多くの工場やオフィスの稼働が本格化し、電力需要量は最大383万キロワットに膨らむと想定する。北電は再生可能エネルギーの受け入れと、節電によって、なんとか電源の範囲内に需要量を抑えたい考えだ。電源には老朽火力も含まれており、バックアップする安定電源はほとんど残っていない。週明けの電力供給はまさに綱渡りだ。

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(左)広域停電を引き起こしたことについて頭を下げる真弓明彦社長=8日、札幌市内の北電本店(中本翔撮影)(右)記者団の取材に応じる世耕経産相=8日午後、経産省
(左)広域停電を引き起こしたことについて頭を下げる真弓明彦社長=8日、札幌市内の北電本店(中本翔撮影)(右)記者団の取材に応じる世耕経産相=8日午後、経産省

 電力は発電所から供給する量と、家庭や工場などで利用する需要量とが常に一致していないとバランスが崩れて「周波数」が乱れ、最悪の場合、発電機が止まり、再び停電を招いてしまう。

 北電は電力利用が増える週明けに向け、さらに電源を積み増す。地震発生後に停止していた、道内の風力発電所、太陽光発電所からの電力受け入れを10日から再開する。天候変動で風力や太陽光の発電量が急に減っても、火力発電所が発電量を増やして補うめどがたったため、週明けから20万キロワットの貴重な電源になる。

 もっとも、8日までに確保した電源350万キロワットに風力、太陽光を積み上げても370万キロワットにしかならず、北電が想定する10日の最大利用量との間にはまだ10万キロワット程度足りない。北電は10日までに、他社が持つ火力発電の電源や、水力発電所の発電量をさらに増やすことを目指している。

 電力を安定して供給するには、想定する最大の利用量より電源に3%分の余力が必要とされている。北電の真弓明彦社長は今後の上積み分でこの水準も超えることができるとの見方を示した。

 加えて、真弓社長は8日の記者会見で道民に広く節電への協力を呼びかけた。「不要な照明をできるだけ消すこと」や「冷蔵庫の温度を下げすぎないこと」など自らが実践している節電の例もあげて、週明けに増えるとみる電力需要の引き下げも目指す。

 電源積み増しと、節電が想定通りに進んだとしても、なお停電につながりかねないリスクは残る。政府高官は8日、北電の積み上げた電源について「まだガラス細工、古い発電所も稼働させているから」とその危うさを表現した。

 8日までに北電が再稼働した電源の中には、運転開始から40年以上が経過している「老朽火力」が多く含まれている。北電が10日もフル稼働を想定している老朽火力(奈井江、砂川3号、音別発電所)の出力は合計で62・3万キロワット。運転中にトラブルが発生すれば、電源積み上げの想定は大きく狂ってしまう。

 リスクはすでに顕在化している。6日のブラックアウト発生後、北電の火力発電所で2番目に運転再開した音別発電所1号機(7万4千キロワット)は、運転中にトラブルを起こし7日午前に停止した。フル稼働して使い続けることが想定されていない老朽火力に過剰な負荷をかけ続けており、トラブルのリスクは高まっている。

 老朽火力の中で最も古い奈井江発電所1号機は運転開始から50年を超えている。同機の出力は17万5千キロワット。道内にはもう、これだけの電源が突然トラブルを起こしたとき、継続的にバックアップできる電源は残っていない。

 世耕弘成経済産業相は「平常時よりも2割が目標」と具体的な数値をあげて、節電を呼びかけた。これに対し、真弓社長は8日の会見で節電の目標数値はあえて示さなかった。実施する場合、2日前には道民への通知が必要とした計画停電という可能性も排除して、週明け10日を迎える。

 薄氷の需給バランスを維持し続けることはできるのか。もう絶対に、想定外の停電は起こせない。北電にとって週明けは背水の陣になる。(宇野沢晋一郎)

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