卓上四季

河童に投票権を!

09/08 05:00

河童(かっぱ)に投票権を! 民俗学者の畑中章宏さんが著書「21世紀の民俗学」で、こんな主張をしている。とっぴな訴えだが、民俗学の父といわれる柳田国男は「死者の政治参加」を提案していたという▼引用された柳田の講演録を要約すればこうなる。国家は今生きている国民だけで成り立っているとはいえない。死んだ先祖も、将来生まれてくる子孫も国民であり、その利益を保護しなければならない―。柳田は、多数者の利益に偏りがちな政治に、少数者の利益も顧みよと語ったそうだ▼畑中さんも、柳田にならい「災害による大量死を背負っている」という河童の政治参加を呼びかける。東日本大震災などの相次ぐ災害を踏まえた警句とも読める▼巨大な地震が北海道を襲い、全道停電という未曽有の事態を引き起こした。そんな中で始まったのが自民党総裁選だ。3日間は活動を自粛するものの、選挙そのものは予定通り行われる▼災害対応の陣頭指揮を執る首相をはじめ、閣僚のほとんどが自民党所属である。総裁選を延期してでも、被災地に目を向け、復旧に全力を挙げる選択肢はなかったのか▼政府はきのう、首相が午前発表した地震の死者数を午後になって訂正する失態を演じた。災害大国ともいえる日本のかじ取り役には、河童に象徴される死者から生者、さらにはまだ見ぬ子らへと引き継がれる国の未来を見通す洞察力が求められる。2018・9・8

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