卓上四季

北海道の大地震

09/07 05:00

桁外れの揺れは「人々に異常な恐怖と驚愕(きょうがく)を与えた」―。16世紀の日本に滞在したイエズス会宣教師ルイス・フロイスは、1586年に近畿、中部地方で起きた天正地震をこう記した▼近江(滋賀)では「大地が割れ、家屋の半ばと多数の人が呑(の)みこまれてしまい、残りの半分の家屋は、その同じ瞬間に炎上し灰燼(かいじん)に帰した」。若狭(福井)では、高い山のような大津波が「恐るべき唸(うな)りを発しながら猛烈な勢いで押し寄せて(略)大量の家屋と男女の人々を連れ去り(略)いっさいのものが海に呑みこまれてしまった」という。歴史と災害は、切っても切り離せない関係にある▼激しい揺れをもたらした6日未明の大地震。道内全域での停電という異常事態も加わり、不安を募らせた人も多かろう。震源付近の胆振管内むかわ町や厚真町などでは死者や安否不明者が出ている▼停電による暗闇ばかりではない。水道、JR、市電、地下鉄、バス、信号、エレベーター…。私たちを取り巻くライフラインの脆弱(ぜいじゃく)さをまざまざと見せつけられた▼「三・一一神はゐないかとても小さい」。岩手県釜石市で東日本大震災に被災した俳人照井翠さんの句だ。自然は人間のことなど考えず、時に容赦なく非情な顔を見せる▼今回の規模をはるかに上回る道東沖や南海トラフの超巨大地震も予想されている。過去の災害から学び、命を守るよう備えを心掛けたい。2018・9・7

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