社説

道央で最大震度7 救助と生活復旧に総力を

09/07 05:00

 きのうの未明、道央を中心に北海道の広い範囲で強い地震があり、胆振管内厚真町で道内初の震度7を観測した。

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 厚真町では大規模な土砂崩れが発生し、複数の家屋が巻き込まれた。同町を含め各地で死者や負傷者が出ている。安否が分からない人も大勢いる。正確な被害状況の把握が急務だ。

 人命救助は時間との闘いだ。警察や消防、自衛隊は安否不明者の捜索に全力を挙げてもらいたい。

 大地震に加えて深刻なのは、苫東厚真火力発電所の緊急停止をきっかけに、道内全域が停電に陥ったことである。

 同火発の復旧には少なくとも1週間かかるという。

 停電は徐々に回復するだろうが、既に道民の暮らしにはさまざまな影響が表れている。

 北電は復旧にあらゆる手だてを尽くすべきだ。政府にも最大の支援を求めたい。

■余震の警戒忘れずに

 地震の発生時刻は、多くの人が就寝中の午前3時ごろだった。

 土砂が一気に押し寄せた地域は、逃げる間もなかったのではないか。直前の台風の影響で、地盤が緩んでいた可能性もある。

 今後しばらく大きな余震が続く恐れがある。

 熊本地震では2回目の震度7の揺れが本震となり、被害を広げたことが記憶に新しい。

 気を緩めることなく警戒を続けなければならない。

 非常時こそ、近所同士で声をかけ、助け合い、互いに冷静な行動を心がけることが大切だ。

 行政には、お年寄りや子ども、障害者といった災害弱者への目配りが求められる。

 二次被害を防ぐため、山崩れや倒壊の恐れのある斜面や建物に近づかないよう注意してほしい。

 まひしている公共交通機関の復旧も急ぐ必要がある。

■北電は全面供給急げ

 北電によると、道内最大の苫東厚真火発が止まった影響で需給バランスが崩れ、他の火発も停止し、道内全295万戸が停電した。全戸停電は初めてという。

 電気は、市民生活にとって重要なライフラインである。

 大地震に見舞われたためとはいえ、エリア全域での停電を招いたのは、電力供給事業者として失態と言わざるを得ない。

 交通をはじめ、さまざまな機能に支障を来した要因だ。全面復旧が急がれる。

 一部の火発が動き始めているとはいえ、当面は電力供給が再開されても、量は制約されよう。

 ここまで大規模な停電は、道民にとっても、文字通り「寝耳に水」だったろう。

 テレビやラジオから地震に関する情報を得ることができないと、不安は一層増幅する。

 とりわけ、携帯電話やスマートフォンを使い慣れていない高齢者らは心細いに違いない。

 停電の影響で医療機関が外来患者の受け入れを停止したり、マンションのエレベーターに閉じ込められた人もいたようだ。

 各地の道路では、信号機が動かなくなり、交通が混乱した。

 暖房が欠かせない冬場であれば、生命の危機にも直結し、極めて深刻な被害をもたらすことは想像に難くない。

 これほどの事態に至った原因に加え、なぜバックアップ機能が働かなかったのか、北電には納得できる説明を求めたい。

 停電に関する情報提供も不十分で、直ちに改善すべきだ。

 今回のような停電を念頭に、携帯ラジオや懐中電灯、電池を常備しておきたい。

■ぬかりのない備えを

 今回の地震は内陸で発生し、津波には見舞われなかったものの、津波被害を含めあらゆる地震に備える重要性に変わりはない。

 政府の地震調査委員会は、道東沖でのマグニチュード(M)9クラスの超巨大地震の発生について「切迫している可能性が高い」と指摘した。

 併せて、今後30年以内に起こる確率を7~40%とする長期評価を公表している。

 一方で内陸部を含め、地震を引き起こす活断層は道内のいたるところに存在している。

 200万近い人口が集中する札幌市の地下にも複数の活断層があり、最大で震度7の直下型が予想される。

 現在の防災態勢に盲点や足りないところはないか。政府や自治体はもちろん、学校や企業、家庭でもう一度、入念に点検したい。

 東日本大震災以降、津波対策への意識は高まっているが、万全とは言い切れないだろう。

 学校の高台移転やハザードマップの作成と周知に一層力を入れて減災を図る。そうした取り組みも忘れてはなるまい。

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