室蘭胆振

<第9部 輪西町かいわい>碁盤目の街 鉄のにおい 繁栄と衰退経験 あすへ奮闘

2018/09/04 09:11
<地図に登場するボルタは「NPO法人テツプロ」が製作。屑鉄工房(愛知県)の「ボルトマン」など世界中のボルト人形を参考にして作られています>
<地図に登場するボルタは「NPO法人テツプロ」が製作。屑鉄工房(愛知県)の「ボルトマン」など世界中のボルト人形を参考にして作られています>
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  • <第9部 輪西町かいわい>碁盤目の街 鉄のにおい 繁栄と衰退経験 あすへ奮闘
  • <にぎわう仲通り>1958年、多くの店舗が並ぶ仲通り。輪西の市街地を東西に貫く通りには、中央町や中島町からも多くの買い物客が詰めかけたという。「アサヒ靴」「トリスバー」など懐かしい看板も見える
  • 仲通り
  • <建設進む室蘭新道>1977年、蘭東と蘭西を結ぶ自動車専用道「室蘭新道」の建設が進んでいた。81年に完成し、市内の交通渋滞解消に大きく貢献。一方、輪西町を素通りする自動車が増えたことで、商店街の衰退の遠因になったとの指摘もある
  • 室蘭新道
  • <室蘭市市民会館>1960年、当時の国道36号(現・市道母恋東町通線)沿いに建設された室蘭市市民会館。4階建てで、1200人収容の大ホールを備えていた。その後老朽化が進み、2002年に商業施設「ぷらっと・てついち」に併設する形で新築移転された。地元の商業者がつくった企業が建設し、市に売却する手法が注目を集めた
  • 室蘭市市民会館
  • <第9部 輪西町かいわい>碁盤目の街 鉄のにおい 繁栄と衰退経験 あすへ奮闘

 鉄のにおいを感じながら、JR輪西駅で列車を降りる。今は無人駅。かつては製鉄所の従業員があふれ、人の流れに逆らって歩けないほど混雑したという。

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 往時に思いをはせて市道を渡ると、香ばしい煙が鼻をくすぐる。飲食店街に並ぶのは室蘭やきとりの店。耳に飛びこんでくるのは酔客の笑い声、ご機嫌なカラオケの歌声。細い路地裏には、労働者に愛されたとんかつ店がたたずむ。

 足を進める。鉄のマチを象徴するお土産として愛される人形「ボルタ」の工房で、なんの変哲もないボルトに命が吹き込まれる。すぐ近くには、開局10周年を迎えた地域FM「FMびゅー」の放送局。地域密着の放送が生み出されている。

 マチの中心へ歩く。隣り合う商業施設「ぷらっと・てついち」と室蘭市市民会館は、地域の将来を憂いた商業者たちの努力の結晶だ。そのまま坂を上れば、丘の上に室蘭ユースホステルが建つ。建築家の田上義也氏(1899~1991年)が船を模して設計した、しゃれた白い建物。振り返ると、新日鉄住金室蘭製鉄所の工場群が目に入る。自動車向け特殊鋼の生産基地として、確固たる地位を築いた。

 製鉄所の前に広がる輪西のマチは、整然とした碁盤目。1889年(明治22年)、福岡、佐賀、石川の士族が屯田兵として入植し、苦難の末に開拓した名残だ。

 1965年の国勢調査で1万7682人が住んでいた輪西地区(輪西町、みゆき町、大沢町、仲町)の人口は、2015年には3436人。製鉄所とともに栄え、鉄冷えの影響をもろに受けた。室蘭の歩みを象徴する地域といえる。

 紙面の上段に並べた写真を見てほしい。室蘭やきとりの味を守る店主。ボルタ制作に打ち込むスタッフ。ユースホステルを40年近く守ってきたペアレント(支配人)―。みんな、いい顔をしている。「昔はよかった」と嘆くのは似合わない。地域活性化に力を尽くす人々の姿を追う連載を始めたい。

 室蘭報道部の横山清貴が担当し、5日から本編を始めます。

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