社説

防衛費概算要求 過去最大 いつまで続く

09/04 05:05

 安倍晋三政権下で、防衛費の増額が歯止めなく続いている。

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 防衛省が決定した来年度予算の概算要求額は本年度当初予算比2・1%増の5兆2986億円で、5年連続で過去最大を更新した。

 北朝鮮の核・ミサイル問題は米朝交渉が続いている。日中関係も改善への動きがある。ことさらに脅威を強調して防衛費を無原則に膨張させる姿勢は看過できない。

 押し上げ要因となっているのは、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」など米国から購入する高額の装備品である。

 背景にはトランプ米大統領が貿易赤字削減のため、軍事品の購入を繰り返し迫っていることがある。米側は自国の雇用増に結びつける狙いも明らかにしている。

 このような要求に応じるのは、あまりに対米追従が過ぎる。

 地上イージスは攻撃的要素を含むとの指摘もある。専守防衛政策の下で、各装備の必要性を徹底的に検証すべきだ。

 問題の一つは、米政府から購入する際の有償軍事援助(FMS)の仕組みである。価格は米側の提示を日本側がほぼ受け入れる「言い値」となっているのが実態だ。

 その調達額は本年度より約2800億円増え、過去最大の6917億円になった。複数年度に分けて支払う装備も多く、翌年度以降の予算を縛る弊害が顕著だ。

 装備品の中でも高額なのが地上イージスで、2基の取得経費は2352億円に上る。大半がFMSの対象である。

 配備予定地の山口、秋田両県では電磁波などへの懸念から、住民の理解は得られていない。

 予算要求以前に、導入ありきの政府の姿勢は疑問である。

 見過ごせないのは、例年1千億~2千億円規模で計上する米軍再編関連経費を、金額を示さない「事項要求」としたことだ。

 通常は予算規模が不明な事業に適用する手法である。要求額を小さく見せるための数字操作と見られても仕方あるまい。

 政府は、防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画の年末の改定に向け、作業を進めている。焦点になるのは米国、中国、ロシアが開発を進める宇宙、サイバー、電磁波といった新領域への対処だ。

 防衛費はこれまで国内総生産(GDP)比1%程度に抑えてきたが、首相は目安設定に否定的だ。

 新領域への支出が、防衛費のたがを緩めることにつながってはならない。予算膨張に歯止めをかける慎重な議論が求められる。

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