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<深川 陸上合宿 駆ける思い>上 教え子連れ原点の地へ

09/04 05:00
帝京科学大女子駅伝チームの練習を自ら走って引っ張る高田由基さん
帝京科学大女子駅伝チームの練習を自ら走って引っ張る高田由基さん

 「ザッ、ザッ、ザッ」。8月中旬、小雨が降る深川市郊外のウッドチップを敷き詰めた林間コースを、合宿中の女子選手5人が走る。大学1年生ばかりの集団を引っ張るのは日本を代表する100キロマラソンランナー高田由基(よしき)さん(35)。今春に発足した帝京科学大(東京)女子駅伝チームの初代監督だ。深川出身で指導者になり「ここで生まれ育ったことが私の人生を決めた」と振り返る。

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 高田さんは幼いころから走ることが好きだった。中学生の頃、エスビー食品陸上部が深川で合宿した。監督は元マラソン選手瀬古利彦さん(62)=現日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダー=。名ランナーを一目見ようと、宿泊先の旅館を訪れた。

瀬古さんに憧れ

 高田さんは憧れの瀬古さんにサインをもらった。今でも深川の実家で保管している宝物だ。「さっそうと走る姿を目の当たりにするうち、私も陸上選手になりたいと思い始めた」

 深川西高の陸上部に入り、進学した東京学芸大の陸上競技部で競技を続けた。2006年サロマ湖100キロウルトラマラソンを走ったことが転機になり、07年には日本代表に初めて選ばれた。

 09年に小学校教員になり、名古屋などで勤める傍ら、100キロマラソンに競技者としての活路を見いだした。日々の仕事をこなしつつ、片道13キロを走って通勤するなど地道な努力を重ねた。14年の世界選手権(ドーハ)は5位入賞を果たし、国別対抗戦の男子銀メダルに貢献した。

深川を元気に

 女子駅伝チームの創設を構想していた帝京科学大は高田さんのこうした実績に着目し、監督就任を要請した。地元の期待は大きい。深川西高陸上部顧問の玉井康夫さん(51)は「彼の存在は合宿地深川の名を広め、深川の子どもたちの目標になる」とたたえる。

 NPO法人ニッポンランナーズ理事長でマラソン解説者の金(きん)哲彦さん(54)は、国内の長距離走の指導者の多くは箱根駅伝経験者と指摘。箱根に縁がなかった高田さんについて「独自に可能性を切り開ける指導者は日本の陸上界にとって有益だ」と注目する。

 原点の地に教え子とともに帰ってきた高田さん。「深川を元気にできるようなチームをつくることが私の役目だと思う」

 深川市の昨年度のスポーツ合宿の延べ宿泊数は5972泊に上り、誘致を始めた1995年度以降で最多を更新した。道内有数の合宿地となった背景には、マチに新たな魅力を生み出すため、誘致に奔走した1人の市教委職員がいた。(深川支局の矢野旦が担当し、3回連載します)

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