社説

減反廃止元年 生産戦略をより柔軟に

09/02 05:00

 2018年産米の出荷が今月以降、道内各地で本格化する。

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 日本のコメ作りを半世紀近く縛ってきた生産調整(減反)が廃止されて最初の出来秋だ。

 通常のコメより早く出回る早場米産地の価格は、小幅ながらも17年産を上回っている。減反廃止が値崩れにつながることを心配していた生産者は一安心だろう。

 半面、価格が高止まりすることは、消費者のコメ離れを一段と進めることになりかねない。

 産地では高値で売れるブランド米の開発競争が過熱し、販売現場では需要の多い割安な業務用米が不足する「需給のミスマッチ」が生じている点も気がかりだ。

 減反の廃止を、生産現場が生産・販売戦略を柔軟に捉え直すための契機にしたい。

 主要産地の新米価格の先行指標となる九州や関東の早場米は、農協が農家に前払いする概算金が17年産に比べ60キロ当たり200円から500円引き上げられた。

 減反は廃止されたものの、17年産よりも作付面積が増えたのは6県で、生産者の高齢化などにより7都府県は減少に転じた。

 産地の自主的な調整が機能し、生産量が抑えられたことが、値上げの背景にあると言えよう。

 気になるのは、こうした産地の動きと、市場のニーズとの間に隔たりが生じていることだ。

 主食米市場全体が縮小する中で、共働き世帯などの増加に伴い成長を期待できるのが、コンビニの弁当類などの中食や外食チェーン向けの需要である。

 ところが、17年度のコメの中・外食消費は国民1人当たり7・6%の大幅減となった。業務用米の供給不足が響き、スーパーがおにぎりを減量するなどの実質値上げが相次いだためだ。

 各産地では、単価の高いブランド米と、補助金の多い家畜の飼料用米に生産が二極化し、安価な業務用米を避ける傾向が出ている。

 主食米の過剰生産を防ぐため、14年度に飼料用米の補助金が大幅に引き上げられたことも一因だ。

 ブランド米だけでなく、値ごろ感のあるコメも用意して市場の要望に的確に対応することが、農家の安定した収入の確保にもつながるのではないか。

 北海道をはじめとする主要産地も、減反廃止で「量」の縛りがなくなったことを前提とした戦略の練り直しが求められよう。

 単位収量が多く、低価格でも農家が利益を出せる業務用の新品種開発などを急いでほしい。

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