社説

概算要求 度を越した予算の膨張

09/01 05:05

 1千兆円を超す借金があるのに、予算要求は税収の2倍近い。水膨れぶりを強く危惧する。

[PR]

 2019年度予算の概算要求が締め切られた。一般会計の要求総額は102兆円台後半と、過去最大を更新する見通しだ。

 100兆円の大台を超えるのは5年連続となる。「人づくり革命」や「働き方改革」といった看板政策の名の下に、多くの省庁が前年度より要求額を上積みしたことが総額を押し上げた。

 7月に決めた概算要求基準で歳出に上限を設けなかった影響が如実に表れた格好だ。

 これが先進国で最悪の財政状況にある国の予算なのか。野放図に近い要求を許す安倍晋三政権の危機意識の欠如は明らかだ。

 厚生労働省は過去最大の31兆8千億円を要求した。このうち29兆8千億円が社会保障費で、概算要求総額の3割を占める。

 国土交通省の管轄する公共事業費は6兆1千億円で前年度当初予算に比べ2割増えた。防衛費も5年続けて最大を更新した。

 少子高齢化や災害への対策は待ったなしだ。それだけに、メリハリの効いた予算編成が欠かせない。政府は、事業の必要性をしっかり見極める必要がある。

 見過ごせないのは、国の借金返済に充てる国債費である。5%強増えて24兆5千億円となった。発行残高の増加を反映したもので、増額要求は3年ぶりだ。

 日銀は7月、異次元金融緩和で0%程度に誘導していた長期金利について、一定の上昇を認めることを決めた。

 今後、決定通り金利が上がれば国債費はさらに膨らみかねない。金融緩和による国債購入が財政規律を緩めた上、歳出増で財政を傷めるのでは弊害が大きすぎる。

 加えて深刻なのは、予算がさらに膨張するのが確実なことだ。

 来年10月の消費税増税に備えた景気対策費は、概算要求と別枠で計上できる。自動車といった高額品の購入支援など多くのメニューが想定されているという。

 しかも、対策費に上限はない。与党などからは、数兆円を求める声が早くも上がっている。

 このため、財務省が概算要求を査定で絞り込んだ後でも、一般会計総額は当初予算で初めて100兆円を突破する恐れがある。

 消費増税は本来、社会保障費をまかない、国の借金を減らすための施策だ。それが「何でもあり」のばらまきと歳出膨張を招くようなことがあってはならない。

ページの先頭へ戻る