卓上四季

暑さとお年寄り

08/31 05:00

猛暑日という言葉にも、すっかり慣れてしまった。それほど今年の夏が暑かったということだろう。「命の危険がある」「災害と認識している」―。気象庁も懸命に呼び掛けていた▼残暑の続く和歌山県では、2学期の始業式をエアコンの効く教室で行い、校長のあいさつを校内放送にした高校もあった。埼玉県加須市は小中学校と幼稚園にエアコンがないため、猛暑日が見込まれる日などは臨時休校にすることを決めたそうだ▼健康な若者にもこれだけ注意を払っている。病気のお年寄りならなおさら慎重でなくてはならない。岐阜市の病院で亡くなった5人の高齢患者は、エアコンの故障した階に入院していた。警察は熱中症の疑いがあるとして、業務上過失致死容疑を視野に捜査を始めた▼熱中症との関係は不明だが、当時は連日の酷暑続き。扇風機を回していたというけれど、この暑さでは効果も薄い。命を救う病院で暑さに命を奪われたとすれば、遺族はやりきれまい▼高齢者は暑さを感じにくく、脱水症状も起こしやすい。病院は「エアコンが嫌いな人もいる。問題があったとは考えていない」と責任を否定する。だが、たとえエアコンが嫌いでも、万が一を考え何らかの処置をするのが病院の役割ではないか。暑さ対策は十分だったのか、疑問が残る▼昨今の暑さには従来の常識や経験則は通用しない。命が軽視されてはいなかったか。2018・8・31

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