社会

障害者雇用不正 「共生」への姿勢を疑う

08/29 05:05

 障害者雇用促進法が定める障害者の雇用割合(法定雇用率)を中央省庁が水増ししていた問題で、政府が調査結果を公表した。

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 昨年雇用した障害者数を約6900人と発表していたが、不正に算入していた人数は、全体の半数の3460人に上る。

 2・49%の雇用率は1・19%に半減した。33行政機関の8割に当たる27機関が水増しを行い、17機関は0%台にまで落ち込んだ。

 多くの障害者の働く機会を国が奪ったのも同然だ。

 加藤勝信厚生労働相は「故意か誤解に基づくものか今の段階で判断するのは困難」と述べたが、無責任な言い訳に聞こえる。

 「共生社会」の理念に向き合う政府の姿勢自体が疑われても仕方あるまい。

 政府は、第三者の検証チームを設置し、10月中に再発防止策と、法定雇用率の達成に向けた取り組みをまとめるという。

 障害者や民間企業の信頼回復を図るためにも、不正が横行した背景を徹底的に解明し、当事者の責任を厳しく問うべきだ。

 厚労省の指針は、身体障害者手帳や知的障害者の療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持つ人や、知事が指定した医師の診断書のある人などを雇用率に算入できるとしている。

 この条件を満たしていない人も含めたことについて、指針の理解不足との声が上がっているが、認識が甘すぎる。

 民間を指導する立場にありながら、これほど多くの中央省庁がルールを無視していた実態の深刻さに変わりはない。

 雇用率を単なる数値目標とみなし、体裁を取り繕って済まそうとしたのではないか。

 雇用率を達成した上で、障害者が働きやすい環境を整えるためにどんな施策が必要か、民間と協力して工夫を重ねるのが、行政に求められる姿勢だろう。

 一連の不正を受け、障害者からは「差別があるのでは」と不信の声が上がるのも当然だ。障害者団体など当事者の声に真摯(しんし)に耳を傾け、実効性のある対策を早急に打ち出す必要がある。

 野党は、衆参厚生労働委員会の閉会中審査を求めている。

 障害者を支援する制度の根幹が揺らいでおり、国会も実態解明に乗りだすべきだ。

 気になるのは、水増しが地方自治体にも広がっていることだ。各自治体は、不備はないかチェックを急いでもらいたい。

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