社説

携帯電話料金 家計負担への配慮必要

08/28 05:05

 総務省が携帯電話料金の引き下げ策の検討を情報通信審議会に諮問した。菅義偉官房長官が先週、「4割程度下げる余地がある」と発言したことで、大幅な値下げを促す可能性も指摘される。

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 日本の携帯電話はNTTドコモなど大手3社の寡占で、外国に比べ料金が高いとの批判が根強い。

 大手3社の営業利益は日本企業の上位10位に入り、その合計額は3兆2千億円に達する。

 携帯電話は1人1台超の時代となり、生活に欠かせぬ機器だが、スマートフォンの急速な普及で通信費の家計負担は増している。

 大手は利益優先に走るのではなく、社会的責任を自覚し、自主的に適正な料金水準を探るべきだ。

 総務省の調査によると、2017年の世帯あたりの携帯通信料は年10万円を超え、10年前より35%増えた。世界6都市の比較では、東京のスマホ料金はロンドンやパリの1・5倍となっている。

 3社が高い利益をあげていることに、利用者から「儲(もう)けすぎ」との批判もある。利益を顧客にもっと還元できないか、改めて点検すべきだろう。

 ただ3社は値下げに消極的だ。

 各社は利益の中から毎年数千億円の設備投資を行っている。基地局更新や、20年の商用化を見込む次世代通信規格(5G)に多額の費用がかかり、通信料金を下げれば品質が保てないとしている。

 通信網や品質の維持、次世代通信への対応は欠かせない。だが各社が別々に行っているインフラ整備を共同化するなど、投資を抑えて値下げに回す余地はあろう。

 複雑な料金体系や顧客を不当に囲い込む契約方法に加え、端末代を大きく割り引いた分を通信料金で回収する事業プランなど、大手に共通する問題点も少なくない。

 来年10月にはIT大手の楽天が「第4の携帯会社」として新規参入する。サービスの質を落とさずに値下げにつながるなら歓迎したい。

 気がかりなのは、民間が決める料金に政府が口出しすることだ。菅氏はきのうの記者会見で「料金が不透明で諸外国と比べても高い」と問題視したが、携帯料金は自由化され政府に強制力はない。

 3年前にも、安倍晋三首相から指示を受けた総務省が各社に値下げを要請した経緯がある。

 政府がすべきは競争環境を整え、寡占を是正することだろう。格安スマホ業者が大手に払う回線使用料を引き下げ新規参入を促すなど、できることはあるはずだ。

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