卓上四季

奇妙なこと

08/28 05:00

正直で公正。謙虚で丁寧―。「まるで小学校の学級委員の選挙のようだ」と評するテレビのワイドショーもあった。自民党総裁選に出馬表明している石破茂元幹事長が最初に掲げたキャッチフレーズだ▼森友、加計学園問題などを巡るこれまでの安倍晋三首相の対応を振り返ると、こうした言葉を掲げるのも分からなくはない。一連の不祥事を巡り、安倍氏が十分な説明責任を果たしてきたとは言い難いからだ▼ところが石破氏は、このキャッチフレーズを使わないことにしたという。党内の一部議員から「個人的なことで攻撃することは非常に嫌悪感がある」という批判を受けたことが理由らしい▼「正直で公正」という、極めて当たり前の政治姿勢が、個人的な攻撃になるとは摩訶(まか)不思議。何とも奇妙な批判ではないか▼現状では26日に出馬表明した安倍氏が国会議員票で優位に立ち、「総裁選は終わった」との声が早くも聞こえてくる。党内の選挙に、国民向けの討論会は不必要という声すらある。しかし、政権政党の総裁選は、事実上首相の座を争う選挙でもある。具体的政策について候補者同士が真正面から議論を尽くすことが、国民に対する責務だろう▼出馬表明に当たり、安倍氏も「骨太の議論をしたい」と訴えた。にもかかわらず、石破氏が求めているテーマ別の討論会開催には消極的だそうだ。これもまた随分と奇妙なことである。2018・8・28

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