今年の甲子園での秋田県立金足農業高校の大活躍には胸が躍った。のびのびとプレーする選手のみならず、時折映る応援席の生徒を見て、この若者たちは偏差値などという単純な物差しとは無縁の充実した高校生活を送っているのだろうなあと想像した。ついでながら、同校の校歌の「農はこれ、たぐいなき愛」という歌詞にも感動した。
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こんなことを考えるのは、学力テストで全国最高レベルの成績を収める秋田県にそれゆえの悩みがあることを聞いていたからである。今年の初め、秋田を訪れて学校の先生方と話す機会があった。確かに、秋田県ではテストの平均点は高いが、大学進学率は全国平均以下で、優秀な子どもほど高校を出れば東京などの大都市圏に出ていき、二度と戻ってこない。先生方からは、何のために子どもを教えているのかという嘆きを聞いた。地域を支える人材育成という点では、職業高校は極めて重要な役割を持っている。テストでよい点数を取るよりも、地域に愛情を持ち、元気に頑張る若者が大勢いるほうが、地域にとっては幸福である。
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02/23 06:08 更新
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