北海道

制服スラックス、自由に選ぶ 道内中学・高校で広がる LGBTに配慮 もとは寒さ対策

08/20 05:00
札幌市内の制服製造販売会社「北海道トンボ」で展示されている女子用のスラックスとスカートのサンプル。道内の学校でも、制服を見直す動きが広がっている
札幌市内の制服製造販売会社「北海道トンボ」で展示されている女子用のスラックスとスカートのサンプル。道内の学校でも、制服を見直す動きが広がっている

 性別を問わずにスラックスやスカートを選べるよう、学校の制服を見直す動きが広がっている。道内では寒さ対策などを理由に女子生徒がスカート以外にもスラックスを着用できる学校が以前からあるが、最近は心と体の性が一致しない性同一性障害など性的少数者(LGBT)に配慮し、スラックスを選択できる中学、高校が増えている。

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 函館市立五稜郭中(541人)は、周辺の3中学校が統合した2016年に新しい制服を導入し、女子生徒はスカートとスラックスのどちらかを選べるようにした。防寒対策や動きやすさに加え、性別により制服が決められることを苦痛に感じる生徒への配慮が理由だ。

■許可や申告不要

 スラックスを希望する生徒は学校に許可を得たり、理由などを申告したりする必要はない。佐藤雅士教頭は「LGBTへの配慮が求められる今の時代に合わせ、当事者の負担にならないよう、理由を明らかにしなくても自由に選べる環境をつくった」と話す。現在、同校の女子生徒2人がスラックスを着用しているという。

 函館市教委も今年6月、市立の全中学校21校の女子の制服について、スカートのほかスラックスも自由に選べるようにする検討を始めた。これまで各校の校長の判断に任せてきたが、LGBTに配慮する施策の一環として制度の導入について検討することになった。

 LGBTの児童、生徒について文部科学省は15年、きめ細やかな対応を求める通知を全国の小中学校、高校に出し、服装について学校が支援する事例として「自認する性別の制服、衣服や、体操着の着用を認める」ことを示した。これを受け、全国で女子のスラックス着用を認める動きが拡大。今春開校した千葉県の柏市立柏の葉中は男女とも性別に関係なく、スラックスやスカートを自由に選べるようにした。

 道教委が今年6月、道立高校を対象に行った調査によると、4月時点で制服がある187校のうち、女子生徒の制服についてスラックスの着用も可能な高校は97校(51・9%)。このうち、男女平等やLGBTに配慮する観点からスラックスを導入しているのは24校あった。一方、道教委は、男子がスカートを選べる高校については「把握していない」としている。

 道内での制服の見直しは、現時点では女子の寒さ対策が主な理由だが、道教委高校教育課の井川智主幹は「この2、3年は、学校統合などに伴う新しい制服の導入を機にLGBTに配慮し、選択できるようにした学校が増えつつある」と説明する。

■女子は97校51%

 「自分が女性であるべきだと認識させられているようで、毎日が嫌で仕方がなかった」。体は女性だが、自身が感じる性は男性という道内の大学院生は、スカートしかはけなかった十勝管内の中学、高校時代を振り返る。「女性の象徴であるスカート」を着用することは、心理的な負担を強める一因だったという。

 性同一性障害の当事者を支援する「北海道セクシャルマイノリティ協会(HSA)札幌ミーティング」は7月、札幌市教委に対し、市立中学・高校の全校で性別に関係なくスカート、スラックスを自由に選べる制度を導入するよう要望した。

 現在、札幌市立の中高、中等教育学校では、スカート、スラックスの選択は各校の判断に任せられており、制服がある計103校のうち84校は女子生徒のスラックス着用を認めている。HSAは学校任せではなく、全校が対象となる制度などの導入を求めている。市教委は「現時点で制度導入は考えていないが、校長会などの場で各校に働きかけていきたい」としている。(報道センター 石田礼)

LGBT レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同一性障害など心と体の性が一致しない人)の英語の頭文字を組み合わせた言葉。性的少数者の総称の一つとして使われることが多い。

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