ふるさと納税

ふるさと納税 物でなく政策で選択を

08/20 05:00

 出身地や応援したい地方自治体に寄付すると税負担が軽減される「ふるさと納税」が導入されて10年がたつ。

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 2017年度の寄付総額は3650億円を超え、導入時の45倍にも増えた。道を含む道内の自治体は365億円を集め、都道府県別で5年連続の1位となった。

 税源となる法人などが少ない地方にとって、資金の新たな調達方法として一定の成果を上げているといえよう。

 しかし、相変わらず豪華な返礼品を用意する自治体に寄付が集中し、ふるさと納税による減税分が寄付を上回って「赤字」になっている市町村もある。

 このため、ふるさとを応援するという本来の趣旨から逸脱しているとの批判は根強い。

 返礼品競争に歯止めをかけ、寄付する人がその地方の課題や事業に関心を持って活性化に寄与できるような仕組みに改めるべきだ。

 道内は自治体数が多いだけでなく、多彩な農水産物の返礼品が人気を集めている。

 一方で「赤字」の自治体も、道のほか、札幌市や帯広市など6市町村に上り、札幌市では赤字額が23億円を超えた。

 総務省は昨年4月、返礼品の価格を寄付額の3割以下に抑えるよう各自治体に求めた。それでも、全国1位の135億円超を集めた大阪府泉佐野市をはじめ、従わない自治体もあるのが実情だ。

 返礼品のルールを法制化すべきだとの声も上がるが、地域の判断をがんじがらめに縛るのは地方自治の原則にそぐわない。

 各自治体には、返礼品の選択に節度が求められる。

 近年は、釣りやカヌーなどの体験型の返礼品を用意し、寄付者に地域へ足を運んでもらう事例が増えている。返礼品とは別に、寄付者を対象にした移住体験ツアーを行っている自治体もある。

 寄付先への訪問をきっかけに、寄付がどんな事業に使われているかを具体的に知れば、継続的な応援団になってもらえるとの期待があるのだろう。

 地域の魅力を体感することで、移住につながる可能性もある。

 返礼品競争から脱するために、こうした工夫を広げていく必要があるのではないか。

 ふるさと納税は地方の税収格差を是正する方策としてはあくまで奇策にすぎないことを忘れてはならない。政府は、国から地方へ税財源と権限を移譲する地方分権の本筋に取り組むべきだ。

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