社説

杉田氏に「指導」 自民の姿勢 本気なのか 

08/07 05:00

 性的少数者(LGBT)のカップルは「生産性がない」と月刊誌に寄稿した杉田水脈(みお)衆院議員に対して、自民党は「十分に注意」するよう指導した。

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 1日に党のホームページに掲載したLGBTに関する見解の中で明らかにした。「性的指向・性自認に関する正しい理解の増進」を目的とした議員立法に取り組んでいることにも触れている。

 安倍晋三首相も「人権が尊重され、多様性が尊重される社会を目指すのは当然だ」と述べた。

 しかし、自民党も首相も杉田氏に撤回や謝罪は求めなかった。

 人間を「生産性」で評価するような考えの危険性に鑑みれば、形を取り繕うだけではなく、毅然(きぜん)とした対応が求められたはずだ。

 多様な生き方を認める大切さをこの党は本当に理解しているのだろうか。憲法が保障する基本的人権と向き合う姿勢が問われよう。

 杉田氏の寄稿には、先月27日に自民党本部前で抗議デモが行われるなど波紋が広がっていた。放置すれば内閣や党の支持率に影響しかねないと危惧したとみられる。

 だが、党の見解は指導の理由を「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現がある」とするにとどまった。

 杉田氏も「真摯(しんし)に受け止め、研さんに努めていく」とのコメントを出しただけで、自身の考えを改めたのかどうかは定かでない。

 寄稿文の何が問題でどう指導したのか、党と杉田氏のいずれの側からも伝えられていない。誠意に欠ける不十分な対応である。

 自民党が杉田氏の見解を問題視しているのなら、せめて2年前の参院選から掲げた議員立法の制定に全力を挙げるべきだ。

 だが、党内の慎重論に配慮したのか「真摯かつ慎重に議論を進める」と言う。本気度が疑われる。

 先月29日には谷川とむ衆院議員も「(同性愛は)趣味みたいなものだ」と発言し、同性婚を「法律にする必要はない」と述べた。

 海外では欧米を中心に法の下の平等を保障する観点などから、同性婚を合法化する動きが進む。日本でも議論が広がりつつある。

 東京五輪・パラリンピックを前にした政権与党内の相次ぐ差別的発言には、海外のメディアから厳しい視線が注がれていることも忘れてはならない。

 自民党内ではこれまでも、伝統的な家族観にとらわれ、少数派や女性の人権を軽視する発言が後を絶たなかった。総裁選で、根深い体質を問い直す議論が必要だ。

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