北海道

美術品 心の癒やしに 初代道南オンブズマン代表故大河内さんの妻綾子さん ロダンのブロンズ像など国立ハンセン病療養所に寄贈 元患者支援「夫の遺志継いだ」

07/23 17:00
美術品を寄贈した大河内綾子さん(右から4番目)と、長島愛生園の元患者ら
美術品を寄贈した大河内綾子さん(右から4番目)と、長島愛生園の元患者ら

 医師で「道南市民オンブズマン」の初代代表を務め、一昨年亡くなった大河内憲司さん(享年80)の妻、綾子さん(80)が、国立ハンセン病療養所「長島愛生園」(岡山県瀬戸内市)で暮らす元患者の自治会に遺品の美術品約85点を寄贈した。憲司さんの「ハンセン病患者のために何かしたい」という思いを受けた寄贈で、自治会は「施設利用者の心の癒やしになる」と喜んでいる。

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 寄贈した美術品は、近代彫刻の巨匠・ロダンのブロンズ像2体、19世紀後半に作られたオルゴール、ステンドグラス製のシャンデリア、国内外の絵画66点などで、大河内夫妻が趣味で収集したもの。それらは綾子さんが経営していた函館市内のホテルに2015年まで展示されていて、その後自宅で保管されていた。

 憲司さんが亡くなった後、綾子さんが愛生園を紹介するドキュメンタリー番組を見て、憲司さんがハンセン病患者について「人権を傷つけられてきた患者さんたちの力になりたい」と気にかけていたことを思い出した。「美術品を通じ安らぎを感じてほしい」と同園自治会に寄贈を申し出た。

 園は、国内初のハンセン病患者の国立療養所として1930年、開園した。隔離政策が解消された現在も161人が暮らしており、平均年齢は85歳と高齢化が進んでいる。強制隔離の歴史を伝えようと、元患者らが瀬戸内にある他の二つの療養所とともにNPO法人を立ち上げ、施設などの世界遺産登録を目指す。

 寄贈式は6月19日に行われ、自治会長の中尾伸治さん(84)は「こんな寄贈を受けたのは初めてで、私たちの心の癒やしになります」と話す。美術品は病棟や医局に展示される予定。

 憲司さんは函館市内で小児科医院を開業する傍ら、95年、市交通局の官官接待疑惑が浮上した際に道南市民オンブズマンを結成。その後も行政の不正な支出をチェックするなど市の監視活動を続けてきた。

 綾子さんは「夫は正義感が強く、医師の枠を越えて活動していた。遺志をくみ、寄贈できてよかった」としみじみと語る。(池野上遥)

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