社説

幼保無償化 公平と安全に疑問残る

06/03 05:00

 政府が、幼児教育・保育の無償化について全体像を固めた。

[PR]

 2019年10月から、認可施設は3~5歳の全員、0~2歳は住民税非課税世帯に限り無料とし、認可外も上限付きで補助する。

 17年4月時点の待機児童は2万6千人、潜在的待機児童は6万9千人に上る。

 そもそも認可施設が全く足りていないのに、利用できる人への支援を優先するのは、結果として不公平感を広げる恐れがある。

 無償化で保育需要が増せば、保育所探しは一層困難になるだろう。背景には、保育士不足という長年の課題が横たわる。

 これに手を打たなければ、施設の数はなかなか増えず、保育の質や安全すら危うくなりかねない。政府は保育士確保に全力を尽くし待機児童解消に努めるべきだ。

 認可外施設は当初対象外だったが、認可施設に入れなかった保護者の猛反発に遭い、自治体の認定があれば補助対象とした。

 ただし、認可施設の平均保育料を補助の上限としたため、認可外施設の利用料がこれを超えると、自己負担になってしまう。

 全面無償化される認可施設との格差は解消されない。

 しかも、認可施設の保育料は収入に応じて設定されているため、最も恩恵を受けるのが高所得世帯だ。むしろ格差が広がる実態に、釈然としない人もいるだろう。

 保育の質が確保できるかどうかも問題だ。

 認可外施設への補助は妥当としても、対象には、幼稚園の預かり保育からベビーホテル、ベビーシッターまで含まれている。

 国の指導監督基準を満たすことが補助の条件だが、条件達成まで5年間の猶予期間を設けた。

 精査もせず一律にハードルを下げるようなことになっては、本来営業を認めるべきでない施設が延命されかねない。

 17年までの3年間に、放課後児童クラブを含む保育施設で起きた死亡事故35件のうち、21件が認可外だった。職員配置の手薄さが要因の一つと指摘される。

 政府は20年度末までに32万人分の受け皿確保を目指す。それには7万7千人の保育士が必要だ。

 一方、保育士配置基準の引き下げや、定員超過の容認など、自治体に要件緩和を迫り、現場に“詰め込み”を強いている。

 これでは子育て世帯の支持は得られまい。予算は限られており、まずは保育士の処遇改善に充てる必要がある。

ページの先頭へ戻る