社説

米朝会談再設定 非核化へ対話を重ねよ

06/03 05:05

 曲折を経て、歴史的な会談が実現に向けて動きだした。

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 トランプ米大統領は、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と予定通り12日にシンガポールで会談すると発表した。

 わずか1週間ほど前、トランプ氏は金正恩氏に首脳会談の取りやめを通告したばかりである。

 その後、南北首脳会談を足がかりに、米朝間でも実務協議が重ねられた。金英哲(キムヨンチョル)党副委員長は1日、金正恩氏の親書をトランプ氏に直接手渡した。

 中止を通告され、危機感を抱いた金正恩氏が会談に積極姿勢を見せることで、米国をつなぎ留めた格好だ。

 双方が対話路線にとどまったことは歓迎したい。

 だが、問題は北朝鮮の非核化が実現するかどうかだ。その手法を巡って、米朝間の隔たりは大きかった。完全な非核化に向け、両首脳はその道筋を明確に示さねばならない。

 トランプ氏は金英哲氏との会談後、「1回の首脳会談で非核化が実現するとは言っていない。プロセスの始まりだ」と述べた。

 米国は従来、北朝鮮の非核化を完全、かつ早期に実現させる考えを示していた。

 このため、トランプ氏の発言は、北朝鮮が求める段階的な非核化に理解を示したようにも見える。

 北朝鮮に制裁解除などの見返りを与えながら、段階的に非核化する方法は、北朝鮮の核・ミサイル開発の時間稼ぎにしかならないとの疑念が強い。

 そうした事態は避けなければならない。

 忘れてならないのは「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」が大原則であることだ。

 一度限りの首脳会談で問題をすべて解決するのは確かに難しい。大原則の下、対話を重ね、打開策を見いだすことが大事だ。

 トランプ氏は「最大限の圧力」という言葉を使いたくないとも述べた。首脳会談を前に、相手を刺激したくないとの配慮だろう。

 こうした中、問われるのは依然として圧力に軸足を置く日本政府の姿勢だ。安倍晋三首相はきのうの講演でも「圧力を高め、抜け道は許さない」と強調した。

 トランプ氏は北朝鮮への経済支援は日中韓3カ国が資金負担すべきだと語った。米国は支出する必要がないという。唐突で一方的な感がある。

 日本政府は米国に真意を確かめるべきだ。

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