社説

「森友」不起訴 終止符にしてはならぬ

06/02 05:05

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書改ざんで、大阪地検特捜部が佐川宣寿(のぶひさ)・前国税庁長官らを不起訴処分にした。

[PR]

 理由について、特捜部は「虚偽の文書を作成したと認めるのが困難」などとしている。

 しかし、公文書の改ざんは国会を欺き、民主主義の根幹を揺るがす背信行為に等しい。

 約8億円にのぼる国有地の値引きの根拠もいまだに不明だ。

 捜査を尽くし、国民の負託に十分応えたのか疑問が残る。

 不起訴処分を受けて、財務省は近く調査報告を公表する。

 政府・与党はこれで森友問題の幕を引きたい意向のようだが、刑事事件としての捜査が終結したとしても、多くの重大な疑惑が残されたままだ。

 ここで終止符を打つわけにはいかない。

 刑事責任が問われなかったことで、むしろ、解明に向けた国会の責任は重くなったと言えよう。

 引き続き、徹底的に追及しなければならない。

 決裁文書の改ざんでは、首相夫人らに関する記述や、「特例的な内容」「本件の特殊性」などの文言が削除されていた。

 特捜部は、削除部分は文書の本質ではないと判断し、虚偽公文書作成罪などには当たらないと結論付けたようだ。

 だが、政治との関わりの有無は、この問題の重要な論点であり、「本質」とも言える。

 国有地の値引きについても、特捜部は「ごみの撤去費が不適正と認定するのは困難」とした。

 「値引きの根拠は不十分」との会計検査院の指摘と食い違う。

 こうした経緯を振り返れば、国民は釈然としない思いだろう。

 佐川氏は国会の証人喚問で、「刑事訴追の恐れ」を理由に、決裁文書改ざんの動機など核心部分について口をつぐんだ。

 ならば、捜査に一定の区切りがついた今こそ、真相を語れるはずだ。再度の証人喚問に積極的に応じ、正直に説明するべきだ。

 財務省は調査報告で、佐川氏が改ざんを事実上指示したと認定する方針だが、国会答弁とのつじつま合わせ程度では済まされない。

 決裁文書の問題について、「書き換え」と言い続けた麻生太郎財務相の事実解明に消極的な態度も目に余る。こうした政府や与党の姿勢が、政治と行政への深刻な不信を招いている。

 うやむやのままで終わらせるのは許されない。

ページの先頭へ戻る