社説

党首討論 これでは疑念は晴れぬ

05/31 05:05

 国会はきのう、安倍晋三首相と主要野党との党首討論を行った。一昨年12月以来1年半ぶりの開催で、今国会では初めてだ。

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 だが限られた時間の中、首相は質問をはぐらかすばかりで、議論は最後までかみ合わなかった。

 森友学園、加計(かけ)学園などを巡る問題で国政への不信が渦巻いている。首相に求められるのは追及をかわすことではなく、疑問に誠実に答える姿勢ではないのか。

 英国の先例を形だけ取り入れた現行制度の限界も明らかだ。国会は与野党を超えて、討論のあり方を見つめ直さねばならない。

 野党の持ち時間は、もっとも長い立憲民主党で19分、共産党は6分にすぎない。各党が首相に簡潔な答弁を求めたのは当然だ。

 ところが首相は自らの立場の主張に力点を置き、質問に正面から答えることを避け続けた。

 森友問題で「私や妻が関係していたとなれば、首相も国会議員もやめる」とした答弁に、なぜ「金のやりとり」の条件を加えて修正したか問われると、自らの過去の答弁を列挙して時間を費やした。

 公文書改ざんや廃棄、官僚の虚偽答弁が現政権下でなぜ続発したのか、その認識を問われると「李下(りか)に冠を正さずで身を引き締めていきたい」と反省を口にしたが、原因については口を閉ざした。

 一方で目立ったのが「これまで何度も答えている」と、幕引きを急ぐかのような姿勢である。

 疑問が解消されないからこそ同じ問いが繰り返されていることを、首相は認識するべきだ。

 党首討論は、2大政党制の英国議会を手本に2000年に正式導入。当初は英国と同じ週1回を想定していた。1時間に満たない討論時間も英国に倣ったものだ。

 だが日本では複数の野党でわずかな時間を分け合う形となる。開催はせいぜい年数回にとどまり、昨年は一度も開かれていない。

 現行のままでは実りある議論は望めまい。制度自体を再検討する時期に来ているのではないか。

 討論の時間を長くする、あるいは開催の回数を増やすなど、方法はいくらでもあるはずだ。

 野党側にも、質疑内容の調整や時間を譲り合うなど、討論を有効活用する工夫が求められよう。

 見過ごせないのは与党側が、首相の国会への出席を減らそうとする動きを強めていることだ。

 国会は一連の疑惑に加え、働き方改革など問題含みの法案審議も抱える。さらに丁寧な説明が求められることを忘れてはならない。

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