社説

加計学園問題 虚偽の放置は許されぬ

05/29 05:05

 国が認可し、公費の助成を受ける大学の学部新設が、虚偽に基づいて進められた疑いがある。見過ごしにできるわけがない。

[PR]

 国会はきのう、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設などを巡り、安倍晋三首相出席の集中審議を衆参の予算委員会で行った。

 この問題では、加計孝太郎理事長と首相との面会を記した愛媛県文書と、否定する首相の言い分が食い違い、疑問が深まっている。

 驚くのは学園側が、愛媛県に「誤った情報」を与えたとする談話を発表したことだ。首相と加計氏との面会をでっち上げ、行政機関を欺いたと取れる内容だ。

 なのに首相は調査すら指示しようとしない。愛媛県の公文書を「伝聞の伝聞」と切り捨てる一方、自らの名前をかたった学園を不問に付す姿勢は、理解に苦しむ。

 首相の立場を守るため、無理な説明が上塗りされたと疑わざるを得ない。国会は加計氏らを証人喚問し、事実の究明を急ぐべきだ。

 愛媛県文書は学園の報告として2015年2月に首相が加計氏と面会し「新しい獣医大学の考えはいいね」と述べたと明記。昨年1月まで計画を知らなかったとする首相の主張と食い違う内容だ。

 これに対し学園はその後、「担当者が実際にはなかった面会を引き合いに出した」と面会を否定する談話を出し、首相を擁護した。

 愛媛県の中村時広知事は「本当に虚偽の説明をしたのなら県に謝罪し、責任者が記者会見で説明するのが常識だ」と学園の対応を批判した。当然の指摘である。

 愛媛県文書には面会前に学園が「安倍総理と面談する動き」を見せていたとの説明や、面会後に当時の柳瀬唯夫首相秘書官が資料提出を求めた経緯も記されている。

 面会がなかったというのなら、この詳細な記述は、愛媛県が捏造(ねつぞう)したとでもいうのだろうか。

 中村知事は「文書自体に偽りはない」としている。首相はきのう愛媛県文書について「コメントする立場にない」と述べたが、反証を示す責任は首相自身にある。

 問題長期化を受け、自民党内からも真摯(しんし)な対応を求める声が聞こえ始めた。来年の統一地方選や参院選への影響を懸念する動きだ。

 石破茂元幹事長は加計氏の招致を主張。岸田文雄政調会長も「政府として説明責任を果たしてもらわなければならない」と述べた。

 国会議員には与野党を問わず、国民を代表して行政を監視する責務があるはずだ。自民党がその自覚を取り戻せるかも問われる。

ページの先頭へ戻る