社説

柳瀬氏国会招致 やはり喚問が不可欠だ

05/11 05:00

 なんとも不可解な説明である。

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 安倍晋三首相肝いりの獣医学部新設について、首相の盟友が理事長の加計(かけ)学園側と3度も面会したが、首相には報告していない―。

 国家戦略特区について民間と面会したのは加計学園のみだが、特別扱いにはあたらない―。

 国会はきのう、加計学園問題で虚偽答弁が疑われる柳瀬唯夫元首相秘書官を、衆参の予算委員会で参考人として招致した。

 柳瀬氏は、これまで明言しなかった学園側との官邸での面会を認めた。国会で答弁を避けてきたのは質問されなかったからという理屈だが、不自然さを拭えない。

 愛媛県の面会記録にある「首相案件」などの発言については「伝えたかった趣旨と違う形で伝わっている」と言い逃れに終始した。これで疑問が晴れるわけがない。

 首相自身が解明を約束した疑惑である。国会は柳瀬氏に加え、学園の加計孝太郎理事長らを証人喚問し、究明を尽くすべきだ。

 新たに見えてきたのは学園側と官邸の長きにわたる関係である。

 柳瀬氏は2013年5月、首相や加計氏らとともにバーベキューを楽しみ、翌日にはともにゴルフコースを回ったという。

 15年4月の官邸での面会では、首相が国家戦略特区による獣医学部新設を検討していると説明、自治体側の「熱意」を求めた。

 その後、特区認可の手続きは急速に進展。柳瀬氏が新潟県など競合する計画の当事者と面会することはなく、事業者の公募に応じたのは加計学園だけだった。

 そもそも国家戦略特区は地方自治体が申請し、認可後に事業者を公募するはずだ。はるか以前から事業者の加計学園と折衝を重ねた官邸の対応は、腑(ふ)に落ちない。

 やはりすべてが「加計ありき」ではなかったか。

 面会記録を公表した愛媛県の中村時広知事がきのう「すべての真実を語っていない」と、柳瀬氏を批判したのも当然である。

 自民党の森山裕国対委員長は、参考人招致で「一定の区切りが付いた」と幕引きの構えだが、虚偽答弁が偽証罪に問われる証人喚問で問い直さねばならない。

 野党の追及は新材料に乏しく、核心に切り込めなかった。それでもきのうの質疑で、学園と官邸の関係の一端は明らかになった。

 昨年1月20日まで計画を知らなかったという首相答弁への疑問はさらに深まった。今後の審議では首相自身にも、より明確な説明が求められよう。

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