憲法改正

2種類の自民改憲草案の違いは? 05年は保守色抑え協調重視

2016/10/22 05:00
2種類の自民改憲草案の違いは? 05年は保守色抑え協調重視

 Q 自民党が党独自の憲法改正草案を国会に提案しないことを決めたそうだね。どうしてなの。

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 A 自民党の草案は小泉政権時代の2005年にまとめたものと、野党だった12年にまとめたものの2種類ある。自民党は当初、12年草案を使って衆参両院の憲法審査会(しんさかい)で議論を進めたい考えだったけど、野党は内容が保守的すぎると批判していた。自民党は野党が改憲論議に参加しやすいよう、12年と05年の草案をいずれも憲法審に提出しないことを決めたんだ。

 Q それじゃあ、何を自民党の案にするの。

 A 自民党としてどんな内容の改憲案を国会に示すか、もう一度党内で議論することになったんだ。その際は12年草案だけでなく、保守色を抑(おさ)えてまとめたとされる05年草案もたたき台に使う予定だよ。

 Q 二つの草案に違(ちが)いはあるの。

 A 例えば天皇制について、05年草案は現行憲法と同様に象徴(しょうちょう)天皇制の考え方をとっているけど、12年草案は天皇を「日本国の元首」と位置づけている。基本的人権を「侵(おか)すことのできない永久の権利」と定めた憲法97条の条文を05年草案はそのまま残しているけど、12年草案は同様の記述がある憲法11条との重複を避(さ)けるためとして削除(さくじょ)している。ただ、どちらの草案も現行憲法が定める戦力の不保持を削除するなど共通点もある。このほか、05年草案は「自衛軍」、12年草案は「国防軍」の創設を盛り込(こ)んでいるよ。

 Q 同じ党の草案なのにどうして内容が違うの。

 A 自民党はもともと自主憲法を制定したいと主張してきた政党だ。ただ政権与党だった05年には野党との協調を重視し、抑制的な内容の草案をまとめた。逆に野党時代の12年草案は、旧民主党政権との違いを打ち出すために保守色を色(いろ)濃(こ)く打ち出した経緯(けいい)がある。

 Q 自民党が草案提出を諦(あきら)めたことで、国会での議論は円滑(えんかつ)に進むのかな。

 A そうとも言えない。衆院憲法審では別の問題が浮上(ふじょう)している。民進党は安全保障関連法を巡(めぐ)る国会審議で大激論になった立憲主義をテーマに議論を始めるよう主張したが、与党(よとう)が難色を示して調整が難航しているんだ。27日に予定していた議論の再開も大きく遅(おく)れそうだね。(幸坂浩)

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