社説

衆院集中審議 首相答弁の矛盾隠せぬ

04/12 05:05

 首相がいくら否定の言葉を重ねても、矛盾が広がるばかりだ。

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 学校法人加計(かけ)学園や森友学園の問題を巡り、衆院予算委員会の集中審議がきのう開かれた。

 焦点となったのは、加計学園の獣医学部新設を「首相案件」などと記した愛媛県の文書と、官邸の関与を認めようとしない安倍晋三首相の答弁の食い違いである。

 首相は、計画を知ったのは戦略特区事業者に決まった昨年1月との主張を変えず、便宜を図るよう指示したこともないと否定した。

 だが愛媛県の文書には、首相が2015年4月までに、学園理事長で盟友の加計孝太郎氏と会食し、獣医学部の新設も話題にしていたことを示す記述がある。

 首相は文書の真偽について「コメントする立場にない」と答弁を避け続けたが、事実と違うというのならなぜ明言しないのか。

 否定できない理由があると疑われても仕方ない。矛盾を放置したままでは国民は納得できまい。

 文書は愛媛県の中村時広知事が職員の備忘録と認めたものだ。

 戦略特区申請のおよそ2年前に、愛媛県や今治市の職員が官邸などを訪ね、首相秘書官だった柳瀬唯夫経済産業審議官らと面会した内容を詳細に記録している。

 その中に「先日安倍総理と学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があった」との記述がある。

 しかし首相はこの内容を全面的に否定。「首相案件」発言も、柳瀬氏自身が認めていないと繰り返した。愛媛県や今治市の職員が官邸を訪ねた事実すら、官邸の記録では確認できていないと述べた。

 愛媛県の文書と首相の主張、どちらが本当か、解明が不可欠だ。野党は柳瀬氏の証人喚問と愛媛県などの関係者の招致を求めている。与党は早急に応じるべきだ。

 この点が重要なのは、国家戦略特区による獣医学部新設が当初から「加計ありき」で進められ、行政の公平性がゆがめられたという疑念に直結するからだ。

 半世紀以上も認められてこなかった獣医学部の新設が異例の短期間で認可され、市有地の無償譲渡と96億円もの助成が決まった。

 仮に直接の指示がなくとも「首相の盟友」への配慮が政府内で働き、特別扱いがまかり通ったとすれば看過することはできない。

 政権内には森友学園問題でも、官僚に責任を押しつける姿勢がちらつくが、最終的な責任は首相にあることを忘れてはならない。

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