社説

加計・森友問題 政治の圧力 疑いさらに

04/11 05:05

 学校法人「加計(かけ)学園」が今春、愛媛県今治市に開設した獣医学部の認可を巡り、県が従来「ない」としてきた文書が存在していた。

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 県や市の職員が特区認可の陳情のため、2015年に首相官邸などを訪れた際の面会記録である。

 当時首相秘書官の柳瀬唯夫経済産業審議官が「本件は、首相案件」と述べたと記されている。愛媛県の中村時広知事はきのう、県職員が作った備忘録だと説明した。

 官邸の圧力により行政の公正がゆがめられたのではないかという疑念を裏付ける内容だ。

 森友学園問題では地中ごみ撤去を巡り、財務省が学園側に虚偽の説明を指示した事実を認めた。

 いずれも最終的な責任は安倍晋三首相にある。きょうの衆院予算委員会で、自ら約束した「丁寧な説明」を尽くしてもらいたい。

 面会記録の内容は一部報道で明らかになった。中村知事は記者会見で、県としては保管していないと述べる一方、職員が報道内容を事実と認めたと言明した。

 柳瀬氏の発言として「自治体がやらされモードではなく、死ぬほど実現したいという意識を持つこと」など、官邸が計画を主導したことをうかがわせる文面である。

 ところが柳瀬氏はきのう「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」とのコメントを発表した。

 これまでも国会で「会った記憶はない」と繰り返してきたが、矛盾をどう説明するのか。野党側は柳瀬氏の証人喚問を求めている。与党は早急に応じるべきだ。

 この問題で首相はこれまで、「私から個別具体的な指示はしていない」と関与を否定してきた。

 だが直接の指示がないのに「首相案件」とされ、異例の認可につながったとすれば、まさに忖度(そんたく)が行政をゆがめたことになる。首相自身が究明を尽くすのが筋だ。

 政治の圧力を証言した前川喜平前文部科学事務次官に対してはその後、中学校で講師を務めた授業に文科省が干渉した問題もある。

 こういった経緯のすべてが国民の不信を深めていることを、政府は重く受け止めねばならない。

 森友問題では財務省理財局が8億円の値引きを正当化するため、ごみ撤去に「トラック何千台も走った気がする」という虚偽の口裏合わせを学園側に求めていた。

 国民の財産を管理する財務省が安売りを主導する事態がなぜ生じたのか。首相夫人の昭恵氏が名誉校長を務めていた事実が影響したのか。国会は徹底究明すべきだ。

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