社説

エネルギー授業 修正要求は行き過ぎだ 

04/06 05:00

 後志管内ニセコ町の町立ニセコ高校で昨年10月、北大大学院の助教が行ったエネルギー問題の講演で、北海道経済産業局幹部が事前に内容の修正を求めていた。

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 対象となったのは、原子力発電の問題点を指摘した部分だ。

 「教育への不当な介入」という住民からの批判に対し、経産局は「中立的な講演内容を求めただけだ」と説明している。

 だが、経産局幹部が助教の研究室を直接訪ねて修正を迫るやり方は、明らかに行き過ぎだ。

 原発に悪い印象を与えかねない講演内容に、横やりを入れたとみられても仕方あるまい。

 ニセコ高は公益財団法人・日本科学技術振興財団の「エネルギー教育モデル校」に選ばれ、講演は、経産省資源エネルギー庁の委託で同財団が実施した。

 講演に先立ち、助教が高校に説明資料を送り、高校は取り決めに基づき経産局に転送した。

 直後に助教の研究室に来た経産局幹部は、原発の発電コストや事故の危険性を指摘した記述や写真に対し、「他の見解もあるのではないか」として変更を求めた。

 事業の主催者側として、その趣旨に沿って口を出すのは当然と言わんばかりの対応である。

 しかし、講演が、公開授業として実施されたことを忘れてはならない。個別の授業への口出しは控えねばならないとの認識を、経産局は欠いているようだ。

 助教は「原発に関する記述ばかりを指摘したので、普通ではないと思った」と語っている。

 経産局側は、福島第1原発事故の水素爆発時の写真掲載については「印象操作だ」とまで述べたそうだが、あの爆発は、7年前、多くの国民がかたずをのんで見つめた事実ではないか。

 助教は記述や写真は削除せず、自然エネルギーの短所に関する説明を加え、予定どおり講演した。妥当な対応だろう。

 エネルギー教育モデル校事業は2014年度に始まった。

 「多様なエネルギー源とその特徴」を学ぶといった目的が掲げられているが、これが授業への干渉を招く口実になるとしたら、事業自体に疑いの目が向けられよう。

 エネルギー政策のPRがしたければ、別の方法を考えるべきだ。

 ニセコ町は北海道電力泊原発の30キロ圏内に位置し、避難計画の策定も義務づけられている。当然ながら、住民には不安もある。

 こうした立地周辺自治体の事情にも鈍感と言わざるを得ない。

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