社説

景況感の悪化 円安頼みの限界見えた

04/03 05:05

 景気の先行きに不透明感が広がり始めている。

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 日銀がきのう発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)は、景気の目安となる大企業製造業の景況感が2年ぶりに悪化した。

 原材料価格の高騰に加え、トランプ米政権の保護主義政策への懸念が強まったことが原因だ。

 2月以降進んだ円高・株安への警戒感から、3カ月後の景況感はさらなる悪化を見込んでいる。

 海外経済や為替の変動に左右される日本経済のもろさが浮き彫りになったと言えよう。

 異次元金融緩和による円安効果に頼り、内需を喚起することができないアベノミクスの限界は明らかである。政府は経済政策の見直しを急ぐべきだ。

 大企業製造業の業況判断指数(DI)は昨年12月の前回調査では、プラス26と11年ぶりの高水準を記録した。今回は2ポイント悪化したものの、数値そのものは依然として高いレベルにある。

 だが、実態はむしろ深刻だ。日本経済の緩やかな成長の主因は、日銀の異次元緩和がもたらした円安である。円高に反転すれば、輸出や海外事業で稼ぐ製造業を中心に業績悪化は避けられない。

 日本企業の内部留保は昨年末時点で過去最高の417兆円に達した。半面、昨年1年間の実質賃金は前年を0・2%下回った。

 国民は成長の恩恵を実感できずに消費は伸び悩んだままだ。企業が守りの姿勢を強めるようなら、消費はさらに冷え込み、景気の腰折れにもつながりかねない。

 人手不足も厳しさを増している。雇用人員判断DIは全規模全産業でマイナス34と、1991年11月以来の不足水準となった。

 安倍政権は選挙のたびに「女性活躍」「1億総活躍社会」「人づくり革命」などの看板を掲げてきたが、それに見合った政策は一向に具体化していない。

 政府に求められるのは手詰まりのアベノミクスに区切りを付け、内需の柱である個人消費をもり立てる政策へかじを切ることだ。

 格差是正や低所得者への分配に力を入れるとともに、子育て支援や就労支援を充実させ、老若男女にかかわらず仕事をしやすい環境を整えることが急務である。

 トランプ政権が発動した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置など保護主義の拡大も、日本企業には看過できない事態だ。

 政府は日米首脳会談などの場で、米国に自由貿易ルールの順守を強く訴えていく必要がある。

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