社会

【回答者 高森健弁護士】10年前の借金返せず裁判起こされた

2018/03/30 05:00
高森健弁護士
高森健弁護士

質問 10年前に消費者金融から借金をしていましたが、返せなくなってそのままにしていました。3カ月前、その会社の従業員が家に突然やってきて、お金を返すように言われ、怖くなって千円だけ渡しました。つい先日、今度は借金全額を返せという裁判が起こされました。どうしたらいいですか。

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回答 借金については返さなければならないのが原則ですが、一定期間が経過した場合には、消滅時効が完成します。消費者金融からの借金の場合は、最後の返済のときから5年が経過すれば消滅時効が完成し、「消滅時効期間が経過したから返さない」という意思表示(消滅時効の援用といいます)をすれば、返済義務はなくなります。なお、個人間での借り入れの時効期間は10年です。

 ただし、消滅時効が完成していたとしても、そのことを知らずに返済をしてしまった場合には、その後に消滅時効を援用することはできません。なぜなら、そのような場合、貸主側としては、「消滅時効を援用する意思がないんだ。借金を返してもらえる」と信頼するのが通常なので、その信頼を保護する必要があるからです。したがって、あなたの場合も借金全額を返さなければならないように思えます。

 しかし、10年間請求をしてこなかった消費者金融が、突然あなたの自宅までやってきて、しかも千円だけ取り立てていったというのもおかしな話です。そして、3カ月後に裁判を起こしてきたことからすると、消滅時効の適用を免れる目的で、法律をよく知らないあなたから千円だけ回収したとも考えられます。このような脱法的な行為を行う者については、そもそも保護すべき信頼がないといえますので、消滅時効を援用することが許されると考えられるでしょう。

 最近は、借りた人も忘れているような、消滅時効完成後の古い貸金債権を行使する業者が増えています。そのような債権であっても、借り主が消滅時効を援用するまでは有効な債権として扱われ、いったん裁判所で判決が出てしまうと、もはや消滅時効を援用することができなくなってしまいます。裁判所からの書類が届いたら、放っておかずにすぐに専門家に相談するようにしてください。

(たかもり・つよし)

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