社説

佐川氏喚問 これでは何も分からぬ

03/28 05:00

 学校法人「森友学園」との国有地取引を巡る公文書が改ざんされていた問題で、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問がきのう、衆参両院で行われた。

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 改ざんを誰が、なぜ指示したのか、政治の影響はなかったか。国民が解明を期待した喚問である。

 ところが佐川氏は、刑事訴追を受ける恐れがあるとして改ざんの経緯について口をつぐんだ。

 一方で安倍晋三首相や昭恵夫人、麻生太郎財務相の指示や政治の影響は全否定した。自らの関与について明らかにせぬまま、なぜそこだけは断言できるのか。

 政府の主張をなぞっただけで、疑惑の核心は置き去りである。

 これで問題に幕を引けるはずがない。国会はすべての関係者を呼び、究明を尽くすほかはない。

 佐川氏はこの問題が国会を混乱させたとして「責任は私にある」と陳謝したが、その後は訴追の恐れを盾に証言拒否に終始した。

 太田充理財局長は国会で、佐川氏の「改ざんへの関与の度合いは大きかった」と答弁した。にもかかわらず、改ざん前の文書を見たかどうかすら答えようとしない。

 議院証言法で、刑事訴追に関わる証言の拒否は認められているとはいえ、政権に不都合な事実を覆い隠す意図を疑わざるを得ない。

 ただ、残るわずかな証言だけでも主張のほころびは明白だ。

 佐川氏は、昭恵氏と学園側との関係が異例の契約に与えた影響を否定したが、財務省内で忖度(そんたく)が働いた可能性について問い詰められると「一人一人全員には確認していない」と述べた。

 学園側との交渉記録を「廃棄した」としてきた国会答弁については、行政文書の管理規則を説明しただけだったとして陳謝し、事実上の虚偽答弁だったと認めた。

 国有地の貸し付けや売買の契約は「適正と今でも考えている」と主張したが、会計検査院は昨年、売却額の算定が「慎重な調査検討を欠いた」と断じている。

 佐川氏の言い分は、いずれも根拠に乏しい。国会は再喚問も検討すべきだ。

 売買交渉が行われていた当時の理財局長で、佐川氏の前任の迫田英典氏も喚問が不可欠だろう。

 昭恵氏の関与の有無について首相は「私が政治責任を伴う答弁をしている」と強弁するが、本人が国会で直接説明するのが筋だ。

 与党内には、今回の喚問で国会での究明に区切りを付けたい意向もちらつくが、決着はむしろ遠のいたと受け止めるべきである。

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