社説

イラク戦争15年 混乱は収束していない

03/27 05:00

 米国が国際社会の反対を押し切り、イラク戦争を始めてから15年が過ぎた。

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 当時のブッシュ(子)大統領は開戦から6週間後に戦闘終結を宣言したが、それは泥沼の入り口にすぎなかった。

 宗派対立が激しさを増し、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を招いた。昨年、ISは掃討されたものの、破壊された都市の復興には時間がかかり、今なお故郷に戻れない人が大勢いる。

 欧米の市民団体によると、これまでに民間人の死者は20万人前後にのぼる。ひとたび戦争が起きれば、おびただしい血が流されることを忘れてはならない。

 米国は英国とともに2003年3月20日、国連安保理の明確な決議がないまま、戦争に踏み切った。米中枢同時テロを受けた「対テロ戦争」の一環である。

 だが、戦争の大義だった大量破壊兵器は存在せず、国際テロ組織アルカイダとも関係がなかった。「誤った戦争」を仕掛けた米国の責任はあまりに重い。

 その後誕生したイスラム教シーア派主体の政権はスンニ派を徹底排除し、両派は鋭く対立した。この混乱に乗じて勢力が拡大したのがISである。

 米政権は同じ過ちを繰り返さぬよう、イラク戦争の教訓をしっかりと胸に刻む必要がある。

 不安なのは、トランプ大統領が中東の混乱に拍車をかけかねない政策をとり続けていることだ。

 トランプ氏がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことに、アラブ諸国は反発している。イラン核合意の見直しは、イランを孤立化させる恐れがある。

 安全保障担当の大統領補佐官にボルトン元国連大使を指名したことで、その懸念はさらに強まる。

 ボルトン氏はブッシュ政権の国務次官としてイラク戦争を推し進めた人物である。北朝鮮攻撃も排除しない姿勢を見せてきた。

 イラク戦争開戦時、小泉純一郎首相は米国支持を表明し、翌年には南部サマワに自衛隊を派遣した。だが、政府はなぜ支持したのか、まともな検証を行っていない。

 英国は7年かけて検証し、参戦は過ちだったと結論付けた。

 その場しのぎの特別措置法により自衛隊派遣したことで、後に与党内に海外派遣の恒久法を求める声が高まり、違憲の疑いの強い安全保障関連法施行につながった。

 イラク戦争が日本にもたらしたものは何か。今からでも遅くはない。徹底検証すべきである。

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