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衆院1票の格差 不断の見直しが必要だ

02/08 05:00

 「1票の格差」が最大1・98倍だった昨年10月の衆院選は憲法違反だとして、愛知など3県の住民らが選挙の無効確認を求めた訴訟の判決で、名古屋高裁は、格差を「違憲状態」と判断した。

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 全国14の高裁・高裁支部に起こされた同種の訴訟では「合憲」の判決が続いていたが、11件目で初めて違憲状態の判断が示された。

 1994年の小選挙区比例代表並立制の導入以来、格差が初めて、最高裁が目安とする2倍未満となったが、それだけでは不十分と批判し、国会に一層の是正措置を求めた形だ。

 衆院選前に行われた区割り変更による是正は緊急避難的で、再び2倍を超えるのも時間の問題だ。

 これまでの10件の「合憲」判決も、札幌高裁を除き、人口比を議席数に反映させやすい「アダムズ方式」を導入するまでの過渡的措置にすぎないとみている。

 国会に是正を促す姿勢に変わりはない。各党は重く受け止め、抜本的な改革を急ぐべきだ。

 名古屋高裁は選挙の無効確認の請求は退けたが、1・98倍の格差について「極めて2倍に近く、容易に看過し得ない」と指摘し、「憲法の求める投票価値の平等に反する状態」と結論づけた。

 投票価値の平等をより厳格に捉えたと言えよう。

 一連の判決で、疑問が残るのは札幌高裁の判断だ。

 各都道府県にまず1議席が配分され、最高裁が格差の要因と批判した「1人別枠方式」が事実上残っているにもかかわらず、形式的な判断で問題なしとした。

 これでは、ぎりぎり2倍未満にするための弥縫(びほう)策に近い区割り変更を続ければ、事足りることになってしまうだろう。

 高裁段階の判決は3月中に出そろい、最高裁が年内に統一判断を示す見通しだ。

 国会は司法の最終判断が出るまで静観を決め込み、改革の手を緩めてはならない。

 アダムズ方式を巡っては、削減対象となる県の議席を多く抱える自民党の一部に反対論がある。党利党略で民主主義の公平性をゆがめるとしたら言語道断だ。

 同方式の導入で各党は合意している。この合意を軸に、格差是正に早急に取り組むのが筋だ。

 一方で、人口比だけでは、人口が少ない地方の声をすくい上げる機能が弱まる恐れがある。

 地域の面積や人口密度なども考慮し、多様な民意を反映できる仕組みづくりも求められる。

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