くらし

【回答者 高森健弁護士】ゆるキャラの改変は許されるのか

2017/12/29 05:00
高森健弁護士
高森健弁護士

質問 イベント会社を経営しています。デザイナーに「ゆるキャラ」を発注し、著作権を買い取りました。その後、予想外に人気が出て、色やポーズを変えたさまざまなバージョンの「ゆるキャラ」グッズの販売に乗り出しました。ところが、デザイナーからクレームが来て困っています。

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回答 「ゆるキャラ」のようなキャラクターは、作者によって創作されたものなので著作物にあたり、その作者は著作権という権利を持つことになります。

 著作権は、大きく二つに分かれ、著作者人格権という権利と、財産上の利益を保護する権利があります。後者の権利には、複製権という権利が含まれ、著作者の意思に反して「ゆるキャラ」のグッズを販売したりすることはできません。そのため、「ゆるキャラ」の作成を第三者に依頼するような場合には、著作権の譲渡を著作者から受けるのが一般的です。

 ですが、著作権の譲渡を受ければ、「ゆるキャラ」をどのようにでも使えるかというと、そうではありません。著作者人格権は、著作者のみが有するものであり、これを第三者に譲渡することはできないのです。

 著作者人格権の具体的な権利の一つとして、無断で改変や変更をされない権利、同一性保持権があります。たとえば「ゆるキャラ」の衣装やポーズ、色を変えたりすることは、著作物の無断改変にあたり、差し止めや損害賠償の対象となります。

 著作権を買い取ったからと安心して、著作者の承諾を得ないままに「ゆるキャラ」を改変してしまうと、法的紛争に発展することがあり、実際、全国的にも有名なある「ゆるキャラ」をめぐっては、この同一性保持権を巡って長年にわたる裁判になってしまいました。無断改変というのは、例えばゴッホの絵に勝手に手を加えるのと一緒で、著作者の尊厳を冒し、作品の価値をおとしめるものにほかなりません。

 まだまだ「ゆるキャラ」のブームは続いていますが、権利関係を明確にしないままに使用している例が少なくありません。きちんとした書類を取り交わして権利の帰属範囲を明確にするとともに、著作物はクリエーターが生み出した作品であることを意識して、敬意を払うようにしましょう。

(たかもり・つよし)

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