富士通総研 内外経済トピックス

マイナンバーの情報連携が始まる(3)

2017/12/21 11:14

富士通総研経済研究所主席研究員 榎並 利博

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■北海道ならではのアイデアを

 マイナポータルのメニュー画面を見ると、「ぴったりサービス」という項目が目に入る。これはマイナンバーカードを使ってマイナポータルにログインしなくても使えるサービスだ。現在のところ妊娠・出産(母子保健)と子育て(児童手当、保育、児童扶養手当)の分野に限られるが、手続きの申請をしたり自治体間の比較をしたりすることができる。今後は、引っ越し、就職・退職、戸籍・住民票、国保や年金などより広い分野に展開される予定だ。

ぴったりサービス:網走市の検索結果
ぴったりサービス:網走市の検索結果

 各分野の手続きについて、手続き名称とその概要、対象・手続きを行う人、手続き期限・書類(様式)、手続きに必要な添付書類・持ちもの、手続き方法などが表示され、役所に行く前に確認できる。網走市の例に示すように、手続きに「印刷可」と表示されていれば、申請書をプリントアウトして事前に準備できる。また「電子申請可」と表示されていれば、このまま手続きを進めていって電子申請ができる。この場合は電子署名を使うので、署名する際にマイナンバーカードが必要となる。もちろんマイナンバーカード対応のスマートフォンでも可能だ。

■北海道に「ぴったり」?

 北海道という面積が広大で厳しい気候の地域では、この「ぴったりサービス」はまさに「ぴったり」かもしれない。ちなみに、各自治体における「ぴったりサービス手続き対応状況」(2017.11.20時点)を見ると、北海道内で電子申請を実施している自治体は残念ながら網走市と芽室町の2自治体だけだ。図5にぴったりサービスの手続きで電子申請可能な自治体を整理したが、その普及には偏りがある。自治体クラウドで共同化が進んでいる岐阜県は人口が少ない自治体でも対応が進んでいる一方、外出や移動が困難な地域での普及が今一つという状況だ。

ぴったりサービスの手続きで電子申請可能な自治体数
ぴったりサービスの手続きで電子申請可能な自治体数

 その大きな理由として、マイナンバーカードの普及が進んでいないことがある。マイナンバーカードの普及状況(2017.8.31現在)を見ると、全国の取得者は約1200万人、取得率としては9.6%に留まっている。北海道では取得者が45万人に留まり、取得率は8.4%と全国平均より低い。

■地域ならではの知恵を

 マイナンバーカードを普及するため、総務省ではマイナンバーカードで自治体ポイントを使える施策を始めたが、全国28の自治体が参加するも北海道では一つの自治体も活用していない。また、自治体によっては、マイナンバーカードで図書館が利用できる、タクシー割引の試行をするなどの工夫を始めている。マイナンバーカードはマイナンバーとは異なり、自治体が条例を制定すればアイデア次第でどのような使い方もできるのだ。

 網走市では児童手当、保育、母子保健の3つの分野で10の手続きが電子申請可能であり、芽室町では児童手当の分野で10の手続きが電子申請可能となっている。いずれの手続きでも、マイナンバーカードの電子署名を使って自宅で電子申請が可能だ。このような取り組みを全道に広げ、北海道民の利便性を向上させていくために、北海道ならではの知恵を絞っていきたい。(この項おわり)

えなみ・としひろ 1981年東京大学文学部卒業、同年富士通株式会社入社。住民基本台帳など自治体システムの開発を担当。1996年株式会社富士通総研へ出向し、電子政府・電子自治体および地域活性化分野の研究に従事。マイナンバー関連の著書:『医療とマイナンバー(共著)』日本法令 2016、『実践!企業のためのマイナンバー取扱実務』日本法令 2015、『マイナンバー制度と企業の実務対応』日本法令 2014、『共通番号(国民ID)のすべて』東洋経済新報社 2010、『住基ネットで何が変わるのか』ぎょうせい 2003な
えなみ・としひろ 1981年東京大学文学部卒業、同年富士通株式会社入社。住民基本台帳など自治体システムの開発を担当。1996年株式会社富士通総研へ出向し、電子政府・電子自治体および地域活性化分野の研究に従事。マイナンバー関連の著書:『医療とマイナンバー(共著)』日本法令 2016、『実践!企業のためのマイナンバー取扱実務』日本法令 2015、『マイナンバー制度と企業の実務対応』日本法令 2014、『共通番号(国民ID)のすべて』東洋経済新報社 2010、『住基ネットで何が変わるのか』ぎょうせい 2003な

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