富士通総研 内外経済トピックス

マイナンバーの情報連携が始まる(2)

2017/12/13 13:20

富士通総研経済研究所主席研究員 榎並 利博

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マイナンバー制度における情報連携
マイナンバー制度における情報連携

■940の事務で添付書類削減


 マイナンバーによる情報連携では、約940の事務で添付書類が削減される予定だ。2017年11月の時点で情報連携可能な事務手続きが853ある。また、引き続き試行運用を行う事務手続きが84あり、18年7月には、多くの添付書類が削減される予定である。引き続き試行運用を行うことなった理由は情報連携項目に不備があったためで、自治体間で運用管理や解釈が異なることが表面化した項目だ。これらを整備することで、国民にとって行政手続きはより使いやすいものになる。

 「情報連携」という仕組みは日本特有のものであり、情報連携する機関は5000を超える膨大な数だ。情報を分散管理するという考え方で設計されており、ネットワークには1700あまりの市区町村とそれに対応する教育委員会で3400以上の機関、そして約1600の医療保険者、さらに都道府県やハローワークが接続されることになる。

■地方税情報の提供が圧倒的

 これだけの規模のネットワークシステムとなるとテストも大がかりだ。。16年5月から約9か月間の総合運用テストを実施し、30万件以上のテストを実施している。そして、17年7月から11月の試行運用期間においては、紙ベースによる実務と並行して約80万件の情報照会と約65万件の情報提供を実行し、運用上の確認を行った。エラーのほとんどは準備の間に合わなかった医療保険者が原因で、これらは引き続き試行運用を行った後に本稼働する予定だ。

 試行運用に参加したある自治体では、情報照会では児童手当の認定請求に関する審査で情報連携を使った件数が最も多く、また情報提供では地方税の税額等の情報が使われた件数が圧倒的だったという。無論、地方税情報における本人同意、DV・虐待等被害者の情報保護、運用のタイミングなどの課題も明確になり、これらの課題を解決したうえで本格稼働に臨んでいる。

■抵抗あればマイナポータルを

 このように自分の個人情報が勝手に情報連携されて使われるのは心外だ、と憤る読者もいるかもしれない。そのような方には「マイナポータル」の活用をお勧めしたい。マイナポータルとは、情報連携で行われた住民情報のやり取りの記録を確認したり、行政手続きをワンストップで行える、政府運営のオンラインサービスだ。情報連携の本格稼働に合わせ、1分ほどのパソコンの環境設定でマイナポータルが利用できるように改善された。さらにマイナンバーカード読取対応のAndroidスマートフォンでもマイナポータルが使える。

マイナポータルのメニュー画面
マイナポータルのメニュー画面

■主体的に情報の流れ確認を

マイナポータルのメニュー画面から「やりとり履歴」を選択すると、自分の個人情報がどの機関からどの機関へとやり取りされたかが確認できる。身に覚えのないやり取りがあったり、違法なやり取りがあれば、その情報を証拠に個人情報保護委員会に調査を依頼したり、訴訟を起こしたりすることもできる。

 筆者もマイナポータルを使ってみたが、本稼働間もないこともあり、やり取り履歴はまだ確認できなかった。しかし、「あなたの情報」を選択すると、自分のどのような情報がやり取りされるのかが確認できる。図表3は筆者の世帯情報と税情報をマイナポータルで確認したものである。

自己情報の確認
自己情報の確認

情報連携の本稼働によって853の事務手続きで添付書類が削減されることになり、国民にとっては朗報だ。しかし、その利便性に満足するだけでなく、マイナポータルを使って自分の個人情報のやり取りの状況ややり取りされている個人情報の内容について、自分自身が主体的に確認しながら、マイナンバー制度の成長を見守っていかなくてはならない。(3へ続く)

えなみ・としひろ 1981年東京大学文学部卒業、同年富士通株式会社入社。住民基本台帳など自治体システムの開発を担当。1996年株式会社富士通総研へ出向し、電子政府・電子自治体および地域活性化分野の研究に従事。マイナンバー関連の著書:『医療とマイナンバー(共著)』日本法令 2016、『実践!企業のためのマイナンバー取扱実務』日本法令 2015、『マイナンバー制度と企業の実務対応』日本法令 2014、『共通番号(国民ID)のすべて』東洋経済新報社 2010、『住基ネットで何が変わるのか』ぎょうせい 2003な
えなみ・としひろ 1981年東京大学文学部卒業、同年富士通株式会社入社。住民基本台帳など自治体システムの開発を担当。1996年株式会社富士通総研へ出向し、電子政府・電子自治体および地域活性化分野の研究に従事。マイナンバー関連の著書:『医療とマイナンバー(共著)』日本法令 2016、『実践!企業のためのマイナンバー取扱実務』日本法令 2015、『マイナンバー制度と企業の実務対応』日本法令 2014、『共通番号(国民ID)のすべて』東洋経済新報社 2010、『住基ネットで何が変わるのか』ぎょうせい 2003な

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