社説

防衛装備品購入 米国の言いなりなのか

12/06 05:00

 政府の来年度予算編成で防衛費は6年連続の増加が確実とみられている。初の5兆2千億円台となる可能性が高い。

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 近年の急激な増加は米国の巨額の装備品購入が要因だ。

 先月の日米首脳会談後の共同記者会見で、トランプ大統領は日本の安全だけでなく米国の雇用増のためにも大量の購入が望ましいと露骨に売り込む姿勢を示した。

 これに対し安倍晋三首相も防衛力の「質的、量的拡充」の必要性を強調し、「米国からさらに購入していくことになる」と応じた。

 北朝鮮の脅威を強調することにより、米国の意のままの装備品購入が聖域化するようなことがあってはならない。

 概算要求では北朝鮮に対処するミサイル防衛(MD)の強化に向け、1基800億円の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入が目玉だ。

 ほかにも、最新鋭ステルス戦闘機「F35A」6機に881億円など高額の要求がズラリと並ぶ。

 米国にとって機密性の高い装備品の供給は、同盟国への安全保障の一環として行うものだ。有償軍事援助(FMS)方式と呼ばれる契約では、米政府の提示条件をほぼ受け入れなければならない。

 その額は第2次安倍政権以降の5年間で計1兆6244億円と、その前の5年間の約4・5倍だ。

 事実上、米国の「言い値」で買わされているとの指摘もあり、公正さを疑わざるを得ない。政府は少なくとも、米側に強く改善を申し入れるべきだろう。

 米国からの装備品購入は、集団的自衛権の行使を認めた安全保障法制の下で進む自衛隊と米軍の一体化と密接な関係にある。

 一方、装備品を運用する肝心の自衛隊の現場では、専門技術を持った人員が不足する不安が根強いという。本末転倒である。

 政府は、防衛大綱の見直しや2019年度以降の中期防衛力整備計画の策定に着手する。

 専守防衛の下で装備、人員両面の適正な防衛力の水準を定め、導入に際しては必要性と効果を徹底的に検討するのが大前提だ。

 自民党内には、次期中期防で巡航ミサイル「トマホーク」など北朝鮮への敵基地攻撃能力を備えた兵器の導入を主張する声もある。専守防衛を大きく逸脱するものであり、認められない。

 際限のない防衛費の膨張に歯止めをかけるためにも、防衛費の対国内総生産(GDP)比1%枠はこれからも堅持すべきだ。