社説

続く問題発言 政治家の資質問われる

12/03 05:00

 何よりも言葉が命の政治の世界で、国会議員による耳を疑う問題発言が衆院選後も続いている。

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 自民党の山本幸三前地方創生担当相が先月23日、アフリカ支援に熱心な議員の会合で「何であんな黒いのが好きなんだ」と述べた。

 同じ日に自民党の竹下亘総務会長は宮中晩さん会に迎える国賓のパートナーが同性の場合、「私は(出席に)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」と語った。

 人種差別や性的少数者(LGBT)への偏見を助長するかのような内容だ。人権感覚など政治家の資質が厳しく問われよう。

 安倍晋三首相や自民党執行部は直ちに厳しく対処すべきだったが、そうした動きが見られないことにも首をかしげざるを得ない。

 山本氏は発言の2日後に「『黒い大陸』ということが念頭にあり、人種差別の観点は全くない」と説明、「誤解を招くということであれば撤回したい」と述べた。

 かつてアフリカが「暗黒大陸」と呼ばれたのは「文明の遅れた未開の地」という意味だ。植民地支配した西欧の側から蔑視した表現であり、釈明にもなっていない。

 山本氏は閣僚在任中、学芸員を観光振興の「がん」と批判し、撤回と謝罪に追い込まれた。その時の反省は、結局なかったようだ。

 LGBTに対しては、札幌市を含め公的にカップルを認める自治体が出てくるなど以前より社会の理解が進んできたとはいえ、偏見に苦しむ人はまだ少なくない。

 だからこそ自民党は衆院選公約に「広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定を目指す」と明記したのではなかったか。

 2020年の東京五輪・パラリンピックが近づいている。五輪憲章は人種、性別、性的指向など、いかなる種類の差別も受けてはならないとうたっている。

 無理解な発言は日本への国際社会の不信感を招きかねないと、全ての国会議員が自覚すべきだ。

 資質以前に人格が疑われるような言葉を吐いた議員もいた。

 ツイッターに「朝日新聞、死ね」と投稿し、国会で他党の議員を「犯罪者」と呼んだ日本維新の会の足立康史衆院議員である。

 「犯罪者」発言は撤回、謝罪したが、朝日新聞に対しては先週の衆院憲法審査会で「捏造(ねつぞう)、誤報、偏向報道のオンパレードだ」と攻撃を繰り返した。

 聞くに堪えない言葉を投げつけ、耳目を集めることを意図しているようにも映る。言論の府の劣化を象徴するかのような光景だ。