老朽火発で電力代替 京極揚水13日稼働 厚真火発全面復旧11月以降

09/12 05:00

 北海道電力苫東厚真火力発電所(胆振管内厚真町、165万キロワット)の全面復旧が、11月以降になる見通しとなった。北電は揚水式の京極発電所(後志管内京極町、40万キロワット)など他の発電設備を再稼働させて供給力の上積みを図り、道民に負担を強いる計画停電の回避に全力を挙げる。ただ、道内は老朽化した発電所が多く、需要が増える秋から冬に向けて気の抜けない需給状況が続く。一方、北電の情報公開の姿勢などに対する風当たりも強まっている。

 「供給能力を一日も早く回復させなければならない。最大限の努力をお願いする」。札幌市内の北電本店を訪れた世耕弘成経済産業相は11日、復旧作業に追われる真弓明彦社長ら幹部を激励した。

 地震発生後に緊急停止した苫東厚真は「点検を進めるうちに次々と損傷箇所が見つかった」(阪井一郎副社長)といい、全3基がそろって運転を再開する完全復旧は11月以降になる見通し。真弓社長は当初、復旧のめどについて「1週間以上」との見方を表明していた。経産省内などでも「復旧は週単位だろう」との楽観論もあったが、大幅にずれ込んだ形となった。

 世耕氏は真弓社長との会談後、報道陣に「計画停電のリスクは一定程度低下する」との見方を強調した。背景にあるのが、水力としては最大の発電能力を持つ京極発電所2基が13~14日に稼働し、10月末には知内、苫小牧の計2基の火力発電所の運転再開のめどが立ったことだ。

 この4基が順調に稼働すれば、11月までに苫東厚真4号機(70万キロワット)を上回る計100万キロワット分の電力を生み出すことができる。さらに10月からの液化天然ガス(LNG)火力発電所1号機(小樽市、約57万キロワット)の試運転で生じる電力も、家庭や企業向けの供給に活用する方向で調整している。

 ただ、電力需要は10月に底を打った後、降雪シーズンを控えてどんどん増えていく。昨年10月の最大電力需要は423万キロワット、11月は467万キロワットとなり、12月は512万キロワットに達した。苫東厚真1、2号機が10月末までに復旧し、現在の供給力に他の火力の再稼働分の電力を積み増すと、供給力は単純計算で548万キロワットに増えるが、最も被害が深刻な4号機の復旧が遅れるほど需給は逼迫(ひっ ぱく)していく。

 さらに、道内には「いつ休廃止してもおかしくない」(北電関係者)とされる老朽化した火力発電所も多い。11日午後には運転開始から40年たった音別火力発電所2号機(釧路市、7万4千キロワット)が故障で停止した。地震後の7日にトラブルを起こして停止していた音別1号機(同)が同日夕に運転を再開したものの、依然として気の抜けない状況が続く。

 6日未明の広域停電で大量の牛乳が廃棄されるなどの大きな被害に見舞われた農家は不安を募らせる。JA北海道中央会の飛田稔章会長は11日、北電の対応に関し、こう注文をつけた。「計画停電などを回避するとともに、一刻も早い電力復旧を強く要望する」(石井努)