自民党総裁選 両候補記者会見 違い掘り下げる論戦を

09/11 05:00

 自民党総裁選はきのう、安倍晋三首相、石破茂元幹事長の両候補による所見発表演説会と共同記者会見を行い、論戦が始まった。

 議員票で優勢な首相は勝てば連続9年、第1次内閣を含めて通算10年という戦前にも例のない長期政権が視野に入る。

 それだけに、この総裁選で6年間の政権運営をしっかり総括することが重要だ。

 経済政策や森友・加計問題を巡る政治姿勢などで両氏の違いが浮かび上がった。こうした論点をさらに掘り下げていく必要がある。

 首相は争点の第一に経済政策アベノミクスの継続を挙げ、大規模金融緩和などの「3本の矢を射続けていきたい」と力説した。有効求人倍率上昇や税収増などを、成果を示す数字だとして列挙した。

 これに対し石破氏は「企業の業績と国民一人一人の所得は別だ。働く人の所得は上がったのか」と問題提起し、中小企業や1次産業などの力を高める地方創生こそが成長の鍵を握ると強調した。

 アベノミクスは第2次安倍内閣発足時からの看板政策だ。総裁選は実態を検証し、代わりうる政策手段を探る良い機会である。都合のいい数字だけ並べる自画自賛や「道半ば」はもはや通じない。

 論戦を深めるために、石破氏は地方創生について説得力のある具体策を示すべきだ。

 森友・加計問題に関連して首相は「批判は真摯(しんし)に受け止めながら、謙虚に丁寧に政権運営に当たっていきたい」と述べた。

 同じような言葉は何度も繰り返されてきたが、問題の真相究明や国会答弁に臨む態度が「謙虚で丁寧」だったとはとても言えない。

 石破氏は「国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させる」と言う。ならば、第一歩として森友・加計問題の全容解明が必要だ。その決意を語るべきではないか。

 憲法問題で首相は、秋の臨時国会への改憲案提出を目指すとともに、3年間の次期総裁任期中に改定を実現させたいと意気込んだ。

 石破氏は首相が目指す9条2項を残して自衛隊を明記する案には異を唱え、2項削除を主張する。

 ただ、参院の合区解消や緊急事態条項など「緊急性の高いもの」から改定すべきだとした。改憲自体に意欲的な姿勢は共通する。

 世論調査では総裁選のテーマとして憲法への関心は低い。胆振東部地震など相次いだ大規模災害を受けての防災・減災対策など、他に論ずべき課題は山積している。