HOKKAIDO

09/04 05:00

収穫の秋を迎えた。この季節になると、ドイツなど中央ヨーロッパの市場では「HOKKAIDO」と書かれた青果の札が増える。もちろん北海道のことである。意外と知られていないが、この銘柄のカボチャがここ20年人気だ▼広まったきっかけの一つは1993年、ドイツ南部シュツットガルト在住の古嵜寛志(こざきひろし)さん(65)がクリカボチャの種を日本から輸入し、栽培したことだった。古嵜さんは幼少期、岩見沢や札幌で育った。偶然にも種の袋には産地名なのか「北海道」との記載。これも縁かと、その名で売り始めた▼当時の地元産は味が薄くて水っぽく、煮崩れしやすかったが、この新顔は甘みが強い上にジャガイモのようにホクホクして、調理もしやすいと瞬く間に評判になった。レストランでは、食材にこの銘柄を使っていることをあえてメニューに記すところも現れた▼ただ、誤算もあった。われもわれもと、実から採った種で栽培する農家が増え、価格競争に。さらに皮がオレンジ色の地元産と濃い緑色のクリカボチャが自然交配し、赤みがかったものが主流になった▼幸い、味は良質のままで、最近は英国やオランダでも人気があるという。現在は陶芸家の古嵜さんは「不思議な縁で今やカボチャが北海道のPR役です」と笑う▼身近な食材にも、秘めた魅力がある。世界が注目する美味がまだまだ北海道に眠っているかもしれない。2018・9・4