<舞台裏を読む>宗男氏 国政復帰へ腐心

08/21 05:00

 7月に入り、49人いる自民党道議の携帯電話が次々鳴った。「総裁選は安倍さんでいいな。頼むぞ、はい」

 声の主は、新党大地の鈴木宗男代表(70)。26日には安倍晋三首相と官邸で会い、「石破(茂・元自民党幹事長)をやると言ったのは、3人だけでしたよ」と伝えた。党道連の役員2人と、元道議会議長という。

 国会議員票を固めた首相にとって、気を抜けないのは地方の党員票だ。時宜にかなったアピールに映るが、ふと考えると、鈴木氏は「他党の人」である。

 有力道議は皮肉を込めて語る。「わが党のことまで心配していただかなくて結構。国政復帰の道筋を描けず、焦ってるんじゃないか」

 直近の国政選挙は来夏の参院選。確かに議席奪取は、たやすいことではない。

 たとえば道選挙区(改選数3)。自民は2016年の前回選挙で失敗した2議席獲得に重きを置く。民主党(当時)との連携を解消し、自民支持に転じた宗男氏が名乗りを上げれば、保守票が分散し、野党に手を貸すことになりかねない。

 10年に受託収賄などの罪が確定し、衆院議員を失職。昨年4月に公民権を回復した宗男氏は、半年後の衆院選の比例代表道ブロック(定数8)に大地から出るも、同党の得票は約22万票で次点に届かなかった。

 一方、長女貴子氏(32)は曲折の末、自民比例単独2位の厚遇を受け、3選を果たす。党道連幹部は「娘のこともあり、こっちの邪魔はできないだろう」。

 宗男氏が参院選の比例代表に挑むのにも、ハードルがある。大地で議席を得るには、全国で100万票超が必要とされる。

 宗男氏が自民に復党すれば可能性は広がる。前回選挙で自民の比例候補は約10万の個人票を取れば当選できた。だが、実刑が確定した宗男氏の復党は困難との見方が多い。党道連内に自民批判を重ねてきた宗男氏へのアレルギーは根強い。

 自民には、70歳以上は参院の比例候補になれないという70歳定年制もある。現職なら例外はあり得るが、宗男氏は参院で「新人」だ。ちなみに宗男氏は衆院比例の73歳定年制に関して、自ら導入に関わったとして順守を公言する。

 八方ふさがりか。いや、そこは酸いも甘いもかみ分けた衆院当選8回のベテランのことだ。

 7月7日のブログ。「人口が減っていくのに定数増は納得いかない」。参院定数6増の公選法改正案(同18日成立)を巡り、久々に自民批判を展開し、こう続けた。「日本維新の会は定数24減を提案している。『国民の理解を得るものだ』との声が私に届けられる」

 6増の狙いは明らかに、合区で選挙区を失う自民現職の救済だ。「ご都合主義」へのまっとうな論評だが、政界屈指の知名度目当てに「うちから出てほしい」(維新ベテラン)との声もあり、別の臆測が流れる。

 12年の著書「政治の修羅場」には「人生は思い通りにいかない。諦めるな。死ぬまで闘いだ」とある。次の一手が注目される。(報道センター 佐藤陽介)