夏休みに読書はいかが 人生に効く!?この一冊

08/16 05:00

 若い世代の読書離れが指摘されて久しいが、大学生の場合、1日の読書時間がゼロという人は全国で半数を超えているのが最近の事情のよう。とはいえ、書店や読書会を開いている人などに聞くと、本の魅力やお薦めの作品をいろいろと挙げてくれる。折しも夏休みの真っ最中。これはという本があれば、ぜひ1冊読んでみては―。

 「本は難しい印象で興味が湧かない」。道科学大2年西山翔太さん(20)は読書を敬遠する理由をこう明かす。北海学園大4年吉田佳乃子さん(23)も「アルバイトも学校もあって時間がとれない」という。

 2017年の全国大学生活協同組合連合会(東京)の調査によると、約1万人の回答者のうち、1日の読書時間がゼロという大学生は53.1%に上る。1カ月当たりの書籍費は1340円(自宅生)と、1970年以降で最低だ。スマートフォンの1日の利用時間は平均177分だった。

 こうした状況の中で、読書習慣の定着を目指した取り組みも広がっている。同連合会が主催し全国約210(道内17)の大学で行われている「読書マラソン」では、本の感想をカードに書いて店頭で提出。用紙にスタンプを押してもらい、一定数がたまると割引券と交換できる。構内に書店が2店ある北大生協書籍部(札幌市北区)はお薦めの本を選んでセット販売し、季節ごとにセールも開く。

 紀伊国屋書店札幌本店(同市中央区)は作家の講演会などの催しを企画し、読書への興味関心をいざなっている。同店の志村和紀さん(39)は「ネット検索と異なり、対価を払って得る知識は忘れにくい」と読書の利点をPRする。

 「どの本を読めばいいか分からない人、読書が苦手な人にこそ読書会がお勧め」と強調するのは、札幌市東区のスポーツトレーナー井田祥吾さん(26)。昨年春から主宰する「札幌ゼロ読書会」は市内のカフェに毎月1回集まり、薦めたい本を各5分で紹介し合う。定員は8人で、新しい人を歓迎しようと各回ごとに参加者を募集する。

 きっかけは、職場で休憩中もスマホに熱中する同僚が多く、本の話題が出ないことが物足りなかった。井田さんは「本は人生の即効薬ではないがサプリメント(栄養補助食品)。読書会で披露し、得た知識を再確認することで自身の成長や行動の変化につなげられる」と語る。

 北海学園大の田中綾教授(日本近現代文学)=三浦綾子記念文学館館長=は本の効能について、「何となく思ったり考えたりしたことが、本を通じて言語化されることで頭の中が整理できる」と言う。本の各章は体系づけられており「断片的だった知識を体系づけてまとめることで考えが広がり、文章読解力も養われる」と説明する。

 田中教授が読書の苦手な学生に薦める1冊は、漫画「健康で文化的な最低限度の生活」(小学館)。「生活保護という難しいテーマを扱いながら心温まる良書」と評価する。「最初は漫画でも良いので、さまざまな本を知ってもらいたい。書店で気になった1冊を手に取ることから始めてはどうか」と話す。(道新夢さぽ取材班 木村直人)