日大報告書 理事長は責任を免れぬ

08/01 05:00

 アメリカンフットボール部の悪質タックル問題を調査した日大の第三者委員会は、最終報告を発表し、内田正人前監督らの指示を認定した上で、田中英寿理事長の対応を厳しく批判した。

 内田氏の独裁体制下にあったアメフット部、組織ぐるみの隠蔽(いんぺい)工作など、明るみに出た実態はスポーツマンシップから程遠い。

 報告は辞任こそ求めなかったものの、田中理事長の責任を強調した。適切な危機対応を怠り、説明責任も果たしていないといった指摘はいちいちうなずけよう。

 いまだに公式な場で釈明もしないのは、最高責任者として誠実さを欠くと言わざるを得ない。

 田中理事長は、第三者委の報告を重く受け止め、会見して自ら説明するとともに、人心を一新して日大が再出発するためにも、出処進退を考えるべきだ。

 報告は、「相手をつぶせ」という内田氏の指示について、OBの元理事や職員が、反則をした選手に口止めしたことも認定した。

 「(同意すれば)一生面倒を見る。そうでなかったときは日大が総力を挙げてつぶしに行く」という元理事の言葉は、どう喝以外の何ものでもない。

 報告が問題視するのは、内田氏の独裁体制だけでなく、それを放置した大学組織の欠陥である。

 9割を超す部員やスタッフが内田氏に意見を述べることができなかった。こうした「上意下達」の頂点にいたのが田中理事長だ。

 内田氏の独裁も理事長の後ろ盾があればこそだろう。

 日大の運動部を統括する「保健体育審議会」の機能不全も見逃せない。人事担当常務理事でもある内田氏が審議会の事務局長を兼ねており、これではゆがんだ指導をただせるわけがない。

 第三者委は、審議会を廃止し、指導者や選手が運営に関与する新組織を立ち上げるよう求めた。

 理事らに運動部の要職を兼務させないといった提言の実行も、運営の透明化に欠かせまい。

 スポーツ強化と大学経営の結びつきは日大に限らない。勝利至上主義の芽はどこにも潜む。

 女子レスリングのパワハラ問題などを受け、競技団体は体質改革を求められている。

 スポーツ庁は本年度、全米大学体育協会(NCAA)を参考に、大学スポーツの環境整備を行う統括組織の創設を目指している。

 日本版NCAAが機能するためにも、各大学や競技団体は組織の改革を急がねばならない。