緩和から適応へ

07/29 05:00

猛暑が「災害」と言われる時代である。先週、気温41・1度で国内最高記録を更新した埼玉県熊谷市ではこの夏、熱中症で病院に運ばれる市民が急増、市長が「農作業の頑張りすぎは危険」などと訴える緊急メッセージを発した▼「あついぞ!熊谷」のPRとともに「暑さ対策日本一」の目標も提示。気温が高い日に自動運転する霧噴射装置を駅前広場に設置したり、全中学生に熱中症の予防や対処法を学ばせたりと、あの手この手を繰り出している▼「暑さが年々変わってきた」との実感は全国に広がっている。気候変動対策は二酸化炭素の排出を抑えるなどの「緩和」と、リスク回避や分散などの「適応」が二本柱。熊谷市の試みはこの適応の方だ▼重心は緩和から適応へ移りつつある。先の国会で成立した気候変動適応法は「生活、社会、経済、自然環境における気候変動の影響が生じている」として、国に適応計画策定を義務づけた。道も独自の計画を策定するという▼国連の専門家機関は、2040年代に地球の気温上昇が産業革命前に比べ1・5度に達すると警告する。排出された二酸化炭素は長期間大気中にとどまるので、地球はすぐには冷えない▼だから、気候変動への適応は長い取り組みになる。豪雨・土砂災害や感染症、農漁業の環境変化など、対策を必要とする分野は幅広い。「不都合な真実」に向き合う覚悟が求められよう。2018・7・29