札幌市譲歩、JOCと一枚岩演出 「30年五輪招致」先延ばし

07/16 05:00

五輪招致の意見交換会で、あいさつする札幌市の秋元克広市長(左端)。中央はJOCの橋本聖子副会長、右端は高橋はるみ知事

 冬季五輪・パラリンピック招致を巡り、札幌市と道、地元関係団体、日本オリンピック委員会(JOC)が15日に行った意見交換で、札幌市の秋元克広市長は招致目標年の表明を先送りする理由について、招致関係者の戦略を一致させることが必要だと強調した。早期に2030年大会の招致活動に切り替えたい札幌市と、26年大会の招致活動を継続すべきだというJOCの対立は、札幌市が譲る形で回避された。

 「地元が一体となり、IOC(国際オリンピック委員会)、JOCと信頼関係をしっかりと持つことが極めて重要だ」。会合冒頭、秋元市長は目標年を30年に切り替える判断を先送りする理由をこう説明した。

 この日に至るまで、JOCと札幌市の間では緊迫したやりとりがあった。札幌市からは秋元市長や副市長がJOCに出向き、26年大会の招致活動から早期に撤退する考えを説明したが、JOC幹部は、欧州で有力都市の脱落が続く中では、招致活動を続けることでIOCのメンツを立てるのが得策とし、相いれなかった。

 JOCの橋本聖子副会長は会合後、「IOCの意向に沿って力を尽くす重要性を(札幌市などに)理解いただいた」と語り、立場の違いは解消できたと強調。札幌市幹部は「30年大会を目指すため、ポールポジション(最前列)を取る戦略を一致させたということだ」と説明した。

 次のヤマ場は招致の第1段階「対話ステージ」が終わる9月末ごろ。IOCは各都市の開催能力や財政の安定度などを総合的に評価し、正式な立候補都市として推薦する。秋元市長はこの時までには目標年を正式に示すとした。

 秋元市長は15日の意見交換で、新幹線の札幌延伸に合わせた30年大会を目指すべきだとの考えをあらためて強調し、全体の賛同を得ることに成功。高橋はるみ知事も協議後「26年になる事態は想定していない」と明言した。秋元市長は今月上旬に市の幹部会議で「26年大会からは必ず手を降ろす」と説明し、判断は変えない姿勢だ。

 ただ、24年と28年の夏季大会の前例にならい、IOCが26年と30年の開催都市を同時決定する余地は残る。JOCの橋本聖子副会長は「ダブルで決まる時に(札幌が)ステージにいない事態を避けたい」として、秋以降の第2段階の「立候補ステージ」に残る必要性も示唆。市幹部からは「本当に秋に降りられるのか」との声も漏れる。

 今回の表明先送りに絡み、秋元市長は仮に札幌市が正式立候補の手続きに入る場合、招致の是非を市民に問うアンケートは日程が厳しく、表明前には実施できないと説明した。立候補前に市民の意見を聞くことを約束していた秋元市長は、市議会などで説明を求められる可能性が高い。(松本創一、本郷由美子)