緩い変化球 上沢の強みに<浅沼 寿紀>

07/13 05:00

ピンチを併殺で切り抜け、ガッツポーズする上沢投手=10日のソフトバンク戦

 前半戦を終え、リーグ2位のファイターズ。5位に低迷した昨シーズンから躍進の原動力となったのが、安定した投手陣の存在だ。今回はプロ7年目で、初めて「夢の球宴」オールスターゲームに出場する上沢直之投手に焦点を当てたい。

 2011年のドラフト6位で千葉県の専大松戸高から入団した。187センチの長身から投げ下ろす最速150キロの直球、多彩な変化球は威力十分。高校時代は「松戸のダルビッシュ」と呼ばれた逸材だ。

 2年目までは2軍暮らしだったが、3年目の14年、開幕直後のソフトバンク戦に初登板し、堂々の初勝利を飾っている。

 今季はすでにチームトップの8勝をマーク。防御率も2.22でリーグ3位につけている。

 好成績の要因の一つが、今季習得した「ナックルカーブ」だ。新加入のロドリゲス投手に習って、すぐにマスターしたという。カーブより落差の大きいナックルカーブを投げることで、これまで直球、スライダー、フォークが主体だったピッチングの幅が広がった。

 緩い変化球を投げることにはリスクもある。速球とスピードが大きく違う変化球は、速球に強い打者にはそれなりの効果があるが、コースが甘ければ長打を打たれやすい球種でもある。

 この緩い変化球の使い方に、上沢投手のすごさが垣間見られる。ナックルカーブでカウントが取れるのだ。打者の打ち気をそらすようにナックルカーブを投げ込んで、ストライクを先行させる。これでカウントを整え、他の球種も交えて打者を打ち取ってしまう。

 そんな上沢投手の好投が光った試合がある。5月23日のロッテ戦である。

 降り続く雨の中、上沢投手は八回まで無失点と好投した。九回表、ファイターズの攻撃中に降雨コールドゲームとなり、被安打5、奪三振4、四球1の内容で2試合連続の完封勝利を飾った。悪条件の中、粘り強いピッチングを披露し、淡々と投げ続ける姿に舌を巻いた。

 折り返しを迎えたペナントレースで、2.5ゲーム差で首位の西武を追うファイターズ。真夏の戦いは相手だけでなく、猛暑との戦いでもある。今後、過酷な戦いが多くなるだろうが、上沢投手をはじめ選手たちの底力は、これからが見ものである。(浅沼 寿紀・元プロ野球選手)